皮膚科とChatGPT

先日、近畿大学大塚篤司先生による皮膚科診療とChatGPTのWEB講演がありました。
 ChatGPTについては、知らないことを調べたり、案内状などを簡単に作成してくれたりと、便利な代物とは思っていましたが、これほど皮膚科診療に深く関わるものとは思っていませんでした。かなり、目からうろこのような驚きの講演でした。
 講演では、アトピー性皮膚炎などを例にとり、最新の情報を得たり、翻訳させたり、学会抄録を作ったり、さらにはスライド作成、論文作成の補助をさせたりと、縦横無尽な使い方を紹介されました。将来的には電子カルテと連動させたり、実地診療の現場でも活用されるようになるかもしれないとのことでした。
 そして、ご自身で書かれた「医師による医師のためのChatGPT入門」という本の紹介もされました。さっそくネットで購入してみました。
 講演後、その実力がいか程のものなのか確認するために、少し前に書いた痒疹についてChatGPTに聞いてみました。

### 痒疹の原因について教えて下さい。

1.アレルギー反応:特定の食物、薬物、化学物質、または環境要因に対するアレルギー反応が痒疹を引き起こすことがあります。
2.虫刺され:蚊やダニ、ノミなどの虫刺されが原因で痒疹が発生することがあります。
3.乾燥肌:乾燥した肌がかゆみを引き起こし、痒疹に繋がることがあります。
4.ストレス:心理的なストレスや緊張が原因で痒疹が現れることがあります。
5.感染症:ウイルスや細菌、真菌による感染が痒疹を引き起こすことがあります。
6.自己免疫疾患:自己免疫疾患の一部として痒疹が現れることがあります。
7.遺伝的要因:家族に痒疹を持つ人がいる場合、遺伝的な要因が関与している可能性があります。

痒疹の治療には、原因の特定と対処、かゆみを抑えるための薬物療法、そして肌の保湿が重要です。症状が続く場合や重篤な場合は、専門の医師に相談することが推奨されます。

### 痒疹の病態について教えて下さい。

痒疹(ようしん)の病態は複雑で、多くの要因が絡み合って発生します。以下は、痒疹の主な病態についての詳細です。
1.皮膚の炎症反応
痒疹は皮膚の炎症反応によって引き起こされます。アレルゲンや刺激物が皮膚に接触すると、免疫系が過剰に反応し、炎症を引き起こします。この炎症が皮膚のかゆみと発疹を引き起こします。
2.免疫系の関与
痒疹の発症には免疫系が深く関与しています。具体的には、T細胞やマスト細胞がアレルゲンや刺激物に反応し、ヒスタミンやその他の炎症性物質を放出します。これにより、血管が拡張し、皮膚が赤くなり、かゆみを伴う発疹が発生します。
3.神経系の関与
皮膚には多数の神経終末が存在し、かゆみを感じるための受容体が分布しています。炎症が神経終末を刺激し、かゆみ信号が脳に送られることで、かゆみが感じられます。
4.バリア機能の低下
皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激やアレルゲンが皮膚に侵入しやすくなり、痒疹が発生しやすくなります。乾燥肌やアトピー性皮膚炎などがこのバリア機能の低下に寄与します。
5.細胞レベルの反応
痒疹では、皮膚のケラチノサイトやランゲルハンス細胞などが異常に活性化され、炎症性サイトカインを放出します。これがさらに免疫系を刺激し、持続的な炎症を引き起こします。
6.遺伝的要因
遺伝的な要因も痒疹の発症に影響を与えます。特定の遺伝子変異が皮膚のバリア機能や免疫応答に影響を与え、痒疹の発症リスクを高めることがあります。
7.心理的要因
ストレスや不安などの心理的要因も痒疹の症状を悪化させることがあります。心理的ストレスが神経系や免疫系を通じて皮膚に影響を与え、かゆみや炎症を増強することがあります。

痒疹の治療には、これらの病態を理解し、適切な対策を講じることが重要です。抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬、免疫抑制剤などが治療に用いられ、皮膚の保湿や刺激物の回避も重要です。

###痒疹の最新の治療について教えて下さい。

痒疹の最新の治療方法には、従来の治療法に加えて、新しい薬物や治療法が含まれています。以下はその概要です:
1.生物学的製剤
・デュピルマブ(Dupilumab):アトピー性皮膚炎の治療に使われている抗IL-4受容体αモノクローナル抗体で、痒疹にも効果が期待されています。IL-4およびIL-13という炎症性サイトカインのシグナルを阻害することで、炎症と痒みを抑えます。
・オマリズマブ(Omalizumab):抗IgEモノクローナル抗体で、慢性特発性蕁麻疹や他の難治性痒疹に使用されることがあります。
2.JAK阻害薬
ジャヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は、炎症シグナルの伝達を抑えることで効果を発揮します。最近では、アトピー性皮膚炎や他の慢性皮膚疾患の治療に使われ始めています。
・ウパダシチニブ(Upadacitinib)
・バリシチニブ(Baricitinib)
3.新しい局所治療薬
・PDE4阻害薬(ホスホジエステラー4阻害薬):クリスボロール(Crisaborole)は、局所的に使用されるPDE4阻害薬で、炎症と痒みを抑える効果があります。
4.レーザー治療
特定のレーザー治療(例えばエキシマレーザー)が、特定の痒疹に対して使用されることがあります。炎症を減少させ、かゆみを軽減する効果があります。
5.光線療法
UVB療法やPUVA療法などの光線療法は、慢性痒疹の治療に効果的です。これらの治療法は、皮膚の炎症を軽減させ、免疫系の過剰反応を抑える働きがあります。
6.心理療法
心理的要因が痒疹の症状に影響を与えるおとがあるため、認知行動療法(CBT)やストレス管理技術が補助療法として利用されるおとがあります。
7.生活習慣の改善
最新の研究では、生活習慣の改善が痒疹の管理に役立つことが示されています。例えば、適切なスキンケア、健康的な食事、十分な睡眠、ストレス管理などが推奨されます。
8.プロバイオティクスとプレバイオティクス
腸内フロラの改善が皮膚の健康に影響を与える可能性があるため、プロバイオティクスやプレバイオティクスの接取が研究されています。

これらの治療法は、個々の患者の状態や反応に応じて選択されるべきです。最新の治療法や薬物は専門医の指導の下で使用されるべきですので、症状が続く場合や治療に関して質問がある場合は、医師に相談することをお勧めします。

ここらでChatGPTの回答は止めにしますが、こちらが専門的に突っ込むと更にその先の回答を準備しています。例えばペリオスチンの役目、それをターゲットにした治療、さらなる生物学的製剤の開発状況なども答えてくれます。(日本語より英語で聞いたほうがより高度だとか)

 世の中の進歩は驚くばかりですが、もう専門医の知識より人工頭脳に聞く方が確かな時代に入っているのかもしれません。ただ、世にフェイクニュースが蔓延するようにAIも最終チェックをすべきは人間です。いかに賢く使いこなしていくかが、課題のように思いました。