真皮の疾患

 皮膚は表皮の下には真皮、皮下脂肪織があります。真皮の厚さは表皮の約15~40倍ほどあります。真皮は細胞成分と間質成分(細胞外マトリックス)からなります。間質成分では大部分が膠原線維(I/III型コラーゲンが主)で他に弾性繊維、細網線維などの線維成分、基質などがあります。細胞成分としては、線維芽細胞、組織球(マクロファージ)、肥満細胞、形質細胞などがあります。
 これら真皮成分の増加をきたす疾患、逆に減少を示す疾患があります。中には先天性疾患、早期老化症候群(Werner症候群(WS))や穿孔性皮膚症、肉芽腫症など多彩な疾患群が多くあります。
発症頻度は比較的少ない疾患が多いですが、いずれも重要な疾患であり、(皮膚)老化などは、諸外国に比べて頻度の高いWSにおける早老症の遺伝子解析など世界をリードする研究もなされています。(千葉大学 横手幸太郎 学長 講演より) 
 皮膚の赤ちゃんのもちもち肌、歳をとってからの皮膚の弛み、シワ、皮膚の萎縮、光老化などもこれらの成分のなせる技で、身近にもコラーゲンは重要な関心事項かと思います。
 線維腫症、Werner症候群、Ehlers-Danlos症候群、弾性線維性仮性黄色腫、Marfan症候群、穿孔性皮膚症、サルコイドーシス、環状肉芽腫など主な疾患について調べて書いてみたいと思います。
 さらに強皮症は、膠原病の一種で、別項で扱われますが、その本態は血管の病変とそれに付随して起こる膠原線維の増加、膨化、均質化などによって皮膚硬化が進行する自己免疫性疾患で病変の主座も真皮ですので、それについても調べて取り上げてみたいと思います。