ブルーノート

ブルーノートも行ってみたいな、とは思っていました。しかし、真のジャズファンでもありません。ただ、千葉にジャズクラブEighty one Jazz Clubというのがあって、そこのオーナーでピアニストの大原保人さんのジャズピアノが気に入って時々聴きにいっています。ですから全くの部外者でもなかろう、と勝手に決め込んで行ってみることにしました。前知識が全くないので、ChatGPTにお伺いをたてたところ、Jazz Clubをいくつか紹介してくれました。Blue Note NYCは一人では入りにくかろうかと聞いたら、そんなことはありません、と。バラード系か軽快なジャズピアノで検索してもらったら、ロン・カーターの88歳バースデー・セレブレーションがお勧めです、と回答がありました。
それで、行ってみることにしました。宿からブルー・ノートまでは結構近く、歩いても行けそうな距離でした。しかし夜でもあるし雨も降りだし地下鉄で行くことに。乗り換えでもたもたしている間に時間をとって、6時前に入場するはずが15分過ぎになり、バー・カウンターはすでに満席になっていました。(Bar Area seating is limited and first come first served)。仕方なく込み合ってきた道路際に立って演奏時間を待っていました。しばらくすると小柄な女性が近づいてきてなにやらスマホをいじっていましたが、日本語みたいだったので、日本の方ですか?と尋ねたらそうですよ、とのこと。話しているとなんとロン・カーターのマネジャーで30年近くやっているとのこと。村田起代子さんという方でした。彼は親日家で日本人よりも日本人的ですよ、もう数十回も来日していますし、2021年には旭日小綬章が授けられていますよ、とのことでした。そして今日は誕生日の演奏とあって、日本のVIPも来ています、とのことでした。
後でRon Carterの経歴を英文、日本語で調べて見たらまさにジャズ ベーシストの巨人、神様みたいな人と知ってびっくり。
たまたまフラーといった外国のお店でこんな稀れなこともあるのだと驚きでした。近くにいたボストンから来たというご夫婦のご主人が目ざとく我々の会話に気づいて二人は知り合いか、などと聞きつつ間に入り、彼女が英語が達者なのを知ってロンのこと、協演者のことなどをさかんに聞いてきました。相当なジャズ愛好家と思ったらここは2,3回目と。奥さんの手を取り肩や腰に手をまわし、食べ物も取るなど盛んにサービス、スキンシップを取っていました。その後も彼は周りの人を見繕っては、よく話しかける事。彼らは目と目をしっかり見合って、反応を確かめながら会話するのだ、と言葉もだけれど、文化の違いを感じたものでした。日本人は本当に親しい友人となら打ち解けて話すけど、初対面の人とはこうはいかないよなー、こんな奥さんサービスなどあまりしないよなーと思ったものでした。
ステージは8時頃から始まりました。Quartet II ft Renee Rosnes,  Jimmy Greene,  Payton Crossley, Ron Carter (bassists in jazz)
ロン・カーターは88歳とも思えぬ矍鑠とした風貌で老紳士でした。穏やかな弦の音が耳に心地よかったです。ピアノもサックスも素晴らしかったです。最後にロンに蝋燭が1本立った小さなケーキが渡され、皆がパッピーバースデイと祝っていました。
素晴らしいひと時をありがとうございました。また来ることが叶うならば、再訪したいものだと名残惜しく店を後にしました。