脂肪腫は体のどこにでもできるありふれた皮下腫瘤ですが(頚、肩、背部に多い)顔面特に額にできたものは一見粉瘤に似た外観を呈することがあります。帽状腱膜下脂肪腫(subgaleal lipoma)とよばれるもので、前頭筋(帽状腱膜)と骨膜の狭いスペースに生じ他部位の脂肪腫に比べて可動性が低くやや硬く触れます。異所性脂肪腫の一つとされます。また外観上似たものに骨腫がありますが、こちらは骨様硬に硬く、押しても圧縮性はありません。超音波エコー、X線、MRI,CTなどで鑑別診断、確定されます。
この脂肪腫の深さは種々あり、皮下(浅在)発生例と深部発生例の2型があり後者が多いです。更に深部発生例は4つのタイプに分けられます。(2と3のタイプが多い)
1.前頭筋内
2.前頭筋と筋膜(帽状腱膜)の間
3.帽状腱膜と骨膜の間
4.骨膜下
手術の際は、前額の皮膚切開は横方向(皺方向)ですが、眼窩内側から前頭筋上を縦に走行する血管や神経を損傷しないように前頭筋の切開は筋線維に沿って縦方向にします。腫瘍は圧排によって排出されたり、剥離で取れる場合もありますが、骨膜との癒着のため、形成剪刃などで切離、摘出する場合もあります。
参考資料
皮膚科医の「見る技術」 一瞬で見抜く疾患 100 【編著】梅林芳弘
第121回皮膚科総会 EL20-2 皮膚良性腫瘍に対するDay Surgeryを安全かつ完全に行うためのポイント 為政 大幾