皮様嚢腫

皮様嚢腫(dermoid cyst)、皮下皮様嚢腫(subcutaneous dermoid cyst)も粉瘤と似た皮下腫瘤として取り上げられます。
眼囲とくに上眼瞼外側にみられる下床と可動性の少ない深い(しばしば筋層内まで)皮下腫瘤で皮膚よりなだらかに隆起した腫瘤で1~4cmの皮下嚢腫です。極めて徐々に拡大します。
出生時からみられ、胎生期顔裂閉鎖時に皮膚が迷入してできる奇形腫とされています。病理組織的に脂腺や汗腺など付属器を含む全表皮から構成される嚢腫壁の中に毛髪を認めます。歯や骨の組織はありません。
診断はその深さと特有の部位、手の触覚で推定しますが、皮膚超音波やCTで筋層下の嚢腫を確認します。下床の骨が圧迫で陥凹していることもあります。
治療は筋の走行に沿って筋束を分け入り嚢腫を核出する摘出術が行われています。

また卵巣皮様嚢腫(dermoid cyst of ovary)という疾患がありますが、表皮成分の他に内部に骨、軟骨、歯などの要素を伴う奇形腫(teratoma)で病名は似ていますが、上記とは別個のものです。