リンパ腫・リンパ増殖性疾患

リンパ腫、特にリンパ・造血系の皮膚悪性腫瘍は比較的稀な疾患で、しかも我々開業医ではほぼお目にかかることはありません。しかも診断・分類、治療も難しくできれば避けて通りたい疾患群です。この苦手意識は小生だけのものでもなさそうで、実際多くの皮膚科医が感じていることのようです。まず開業医を対象とした講演会でそのような演題をみたためしがありません。多分やっても多くの聴衆は望めないだろうと思います。ちなみに皮膚科総会などでもたまにその方面のセッションに立ち寄っても聴衆はわずかなことが多いです。
 しかしながら、日常診療で皆無かというとそういうわけでもなく、common diseaseといわれるアトピー性皮膚炎、乾癬の中にもセザリー症候群、類乾癬として紛れ込んでいる可能性もあります。近年、生物学的製剤や免疫抑制剤などの薬剤が多用されるようになってくると、リンパ腫を見逃してそれらの治療を開始するととんでもないことになりかねません。 ガイドラインでは常に診断を明確にすること、悪性腫瘍特にリンパ腫の鑑別診断をしっかり行うこと、との記載が口酸っぱく述べられています。
 そういう訳で自分でも地雷を踏むことがないように少し調べてみようと思い立ち、重い腰を上げました。