老人性脂腺増殖症

(老人性)脂腺増殖症は高齢者の主に男性の顔面に生じる直径2-5mmの黄色調を示す柔らかからやや弾性硬の扁平な丘疹で、中心が臍のようにやや窪んでいます。単発することもありますが多くは多発します。主に額、頬にできますが、ときには頭部、前胸部にもできることがあります。多数の肥大した脂腺分葉が集合し、排泄管は拡大し中央から皮脂を排出することもあります。
時には血液透析患者、腎移植後のシクロスポリン投与の患者さんにできることもあります。男性に多いことから男性ホルモン(アンドロゲン)の関与が考えられていて、局所での発現はありますが、血中濃度は高くはないとされます。
新生児の鼻にも一時的に脂腺増殖症ができますが(稗粒腫)数週間で自然に消失していきます。
ダーモスコピー像では、yellow-whitish globules とcrown vesselsの所見が特徴的とされています。
一般的に治療は要しませんが、美容的な見地からレーザー、手術(open treatment)、液体窒素、光治療、ケミカルピーリングなども行われているようですが完全にはとれにくいようです。

真皮内に埋まっている部分が多く見かけ以上に深い病変です。盛り上がっている部分を部分的に蒸散すると、表面が見かけ上平坦になっても、病変が残っていることが外見上明らかに見える結果となり(色調、肌質)治療の満足度は得られにくいです。傷が多少深くなっても完全除去を試みて頂きたい。
病変を残すと再発は早いし、瘢痕、陥凹を残さないために周囲を広くなだらかに削る必要があります。
葛西 健一郎 ほか 炭酸ガスレーザー 治療入門 文光堂 東京 2008