軽度の陥入爪はコットンやソフラチュールなどを爪甲と患部の皮膚組織の間に挿入してパッキングを行い、クッションの役目を与え、爪と軟部組織を離してあげる効果によって症状を改善することができます。
軽度のものであれば、麻酔なしで、あるいは表面麻酔のみでモスキート鉗子で皮膚に食い込んだ爪を持ち上げてコットンなどを挿入します。
適応は挿入に十分な爪の長さがある比較的軽症の陥入爪、巻き爪です。肉芽組織がある場合はソフラチュールは浸出液を増すことが多く、処置に痛みを伴うために勧めない(新井)そうです。
コットン法は単独で、あるいは他の方法と組み合わせて使用できます。
テーピング法、ガター法などとも併用できますし、アイロン、炭酸ガスレーザーなどで彎曲した爪を翻転し、その隙間にコットンやソフラチュールを詰め込むといった方法も取れます。
コットンで細長いひも状のものを作りそれをコロジオンで覆い、耐水性として爪の下に渡し差し込む方法をとる方法も推奨されています(Luc Thomas).
参考文献
新井裕子ほか:陥入爪の簡単かつ有用な保存的治療法 皮膚科の臨床 44(11)特:42;1321~1328,2002
新井裕子ほか:陥入爪・巻き爪 3)陥入爪の簡単、確実な保存的治療法(アクリル固定ガター法、人工爪法、アンカーテーピング法)皮膚科の臨床 52(11)特:50;1604~1613,2010
桑名隆一郎ほか:陥入爪・巻き爪 2)炭酸ガスレーザーによる治療 皮膚科の臨床 52(11)特:50;1597~1603,2010
Luc Thomas et al Chapter 12 Nail Surgery and Traumatic Abnormalities p. 612
Baran & Dawber’s Diease of the Nails and their Management, IV th ed. 2012 John Willy & Sons,
高度な肉芽形成があり、手術あるいはフェノール法を選択する先生が多いと思います。
アクリルガター法で頑張ってみました。
途中の長い経過は省略しますが、軽快しました.チューブが外れたり、アクリルが当たって刺激するので、側爪郭もコットン+イソジンを染み込ませて挿入、運動もできました.
モスキートペアンで爪を持ち上げて、
ソフラチュールを挿入しているところ
コットンでもよいかと思います.