類乾癬

類乾癬とは炎症性皮膚疾患の1つで、乾癬に似た角化性紅斑が多発する疾患群です。Unna, Brocqらが報告し、幾多の変遷を経て、現在では下記のように分類されています。
1.局面状類乾癬(parapsoriasis en plaque)
  A)大局面型(large-plaque parapsoriasis)
  B)小局面型(small-plaque parapsoriasis)
2.苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides)
 A)慢性苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides chronica)
  (滴状類乾癬)(parapsoriasis guttata)
 B)急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides et varioliformis acuta: PLEVA)(Mucha-Habermann病)
一般的には上記のなかで大局面型類乾癬は菌状息肉症の紅斑期に相当すると考えられています。またリンパ腫様丘疹症を苔癬状粃糠疹の亜型とする考え方もあります。また最近では後に述べるように類乾癬は慢性皮膚炎と皮膚T細胞リンパ腫を橋渡しする概念ととらえ、類乾癬という診断名をなくしたほうがいいのではないかとの議論さえなされているようです。

【診断】
紅斑・落屑、角化が主体の皮膚症状であるために、炎症性の種々の疾患と近似した臨床像をとります。したがって、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、乾癬(尋常性乾癬、滴状乾癬)、ジベルバラ色粃糠疹、また多形皮膚萎縮を伴う場合は皮膚筋炎との鑑別が必要になります。
 局面状類乾癬では類円形の境界明瞭な紅斑落屑性局面をなし、通常かゆみはほとんどありません。径が5㎝以上のものを大局面型とよび、ときに10㎝以上にも及びます。この型と早期、紅斑期の菌状息肉症との区別は臨床上不可能であり、病理組織上もほぼ困難とされます。
苔癬状粃糠疹の慢性型と急性型は一連の疾患で、両者が混在することもありますが、PLEVAでは躯幹、四肢近位を中心に大豆大の紅色丘疹の中央に膿疱や水疱を生じ、次第に痂皮を付する潰瘍ないしびらんを生じます。症状はないこともありますが、かゆみや刺激感を伴うこともあり、数週間の経過で治癒します。
苔癬状粃糠疹は最近の分類では独立した概念とされ、類乾癬から切り離して考え、類乾癬とは局面状類乾癬を指すという方向になっているようです。
ただ、いずれのタイプにしても菌状息肉症へ移行する例は報告されています。(小局面型で10%程度、大局面型で10~35%、PLEVAではより高い頻度で)
【病理】
病理組織所見として、局面状類乾癬では部分的な不全角化を伴う表皮の過角化と真皮上層血管周囲性のリンパ球浸潤が主な像です。早期の菌状息肉症の病理所見もほぼ同様で鑑別も困難とされます。
典型的な菌状息肉症の最大の所見は表皮向性(海綿状変化に乏しく、haloを伴う孤立性ないし集簇性表皮内リンパ球浸潤)を伴う異型リンパ球の浸潤であり、集簇性のものは、いわゆるPautrierの微小膿瘍と呼ばれます。またCD4,CD8の免疫染色が鑑別に役立つともいわれます。すなわち炎症性のものではこの両者は混在するのに対して、菌状息肉症の腫瘍細胞は通常CD4陽性であるために、浸潤T細胞はCD4に偏っています。また本来T細胞に発現しているCD7が脱落してきます。これらが鑑別になってきます。また腫瘍細胞ではT細胞受容体遺伝子再構成が有用な場合もあります。しかし、早期では陰性となる場合もありえますので、これのみが診断の決め手になるわけではありません。
【治療】
無治療でも自然軽快するケースもありますが、一般的にはステロイド外用、ナローバンドなどの光線療法がおこなわれています。PLEVAなどで発熱を伴ったり、全身症状が激しい場合はステロイドやレチノイド、DDS内服などの全身療法が選択されることもあります。

類乾癬((特に大局面型)を早期の菌状息肉症と考えて、そのような病名をつけて患者さんに説明することも可能ですし、長期の経過を見る必要はあるものの、基本的に良性の疾患なのでいたずらに不安を与えるような説明は避けるべきとされます。

参考文献

小宮根 真弓 類乾癬 pp435-436 今日の皮膚疾患治療指針 第5版 編集 佐藤伸一 藤本 学 門野岳史 椛島健治 医学書院 東京 2022

川内康弘 滴状類乾癬 pp163 皮膚疾患 最新の治療 2023-2024 南江堂 東京 2023

足立 真 局面状類乾癬 pp164  皮膚疾患 最新の治療 2023-2024 南江堂 東京 2023

宮垣朝光 1.類乾癬と菌状息肉症 特集 日常診療に潜むリンパ腫・リンパ増殖性疾患ーリンパ腫との鑑別が問題になる関連疾患ー
皮膚科の臨床 65(12);1755~1761,2023