外歯瘻

外歯瘻は齲歯、歯根炎、歯根膿疱、歯槽骨炎などの歯根部の化膿性病巣が進行して膿汁が直上の皮下組織に波及して瘻孔を形成し、皮膚に開口して排膿することによって生じます。自覚症状のないことも多いです。
単なる瘻孔だけではなく、周囲に肉芽様結節を伴うことが多いです。病変部をつまむと深部への硬結を蝕知し、皮膚との可動性が悪く、つまみにくいのが特徴です。下顎頤部(第1大臼歯)が圧倒的に多いですが、上顎歯から生じると頬部や鼻唇溝の紅色皮下腫瘤として現れるので、炎症性粉瘤や癤などとして治療され診断まで時間がかかるケースもみられます。
診断には肉芽腫、下床との可動性の悪い皮下硬結を蝕知すること、ゾンデで歯根病巣との連絡を見る事などで疑いますが、確診にはオルソパントモグラフィーやCT撮影が必要となります。超音波画像検査も有用との報告もあります。
鑑別診断には炎症性粉瘤や癤、丹毒、血管拡張性肉芽腫、有棘細胞癌、スポロトリコ―シス、放線菌症、非結核性抗酸菌症、皮膚腺病、ベーチェット病などがあげられます。
治療は原因歯に対して抜歯など歯科的根治治療を行わないと治癒しません。歯科治療によって皮膚の肉芽腫も軽快、消退することが多いですが、瘻孔が自然消退しない場合は瘻孔摘出術を施行される場合もあります。