JAK阻害薬

最近アトピー性皮膚炎の治療薬でにわかに注目を浴びてきたのがJAK阻害薬です。
外用薬ではデルゴシチニブ(コレクチム軟膏)として、2020年に発売されました。顔面などステロイド薬の連用に耐えない部位の治療薬として期待されています。プロトピック軟膏より刺激が少なく使いやすい印象ですが、効果はプロトピックと同等程度で、抗炎症効果はそれ程強力ではない印象です。
その後、経口JAK阻害薬が次々と登場してきて、デュピクセントの独壇場と思われた重症のアトピー性皮膚炎の治療薬もこれらのJAK阻害薬を抜きにしては語れない程のパラダイムシフトを迎えてきた感があります。【バリシチニブ(オルミエント)、ウパダシチニブ(リンヴォック)、アブロシチニブ(サイバインコ)】。治療効果もデュピクセントを凌駕する勢いのようですが、副作用なども含めこれから治療知見が集積されていくでしょう。期待半分、実地医家にも使えるのかと心配もあります。
今後、JAK阻害薬はアトピー性皮膚炎のみではなく、様々な免疫、炎症性皮膚科疾患にも応用されようとしています。目が離せない薬剤です。

ところでこの分野では、日本人の巨匠がいます。慶応大学の吉村 昭彦 教授です。
小生がその名前を知ったのは京都大学皮膚科の椛島先生のブログでの紹介記事でした。
そのブログの記事は吉村先生のぼやき部屋としてリンクを張ってあります。ボヤキというようにちょっと自虐的なぼやきもありますが、内容は真髄をついていて、鋭くいつもなるほど、はっとさせられます。基礎的な内容は難しく飛ばしてもそのボヤキ部分だけは面白くて時々訪れています。
その中でJAK発見しそこないの物語は読んでいて素人目にもワクワクする内容です。謙遜されていますが、実はJAKに世界で最初に最も近づいたのが吉村先生です。その先端を切り開くことが評価されるならばノーベル賞ものだと思います。(素人が言っても全く意味を持ちませんが)。JAKの発見で先を越された先生は、その後JAK-STAT経路のnegative feedback経路のCIS/SOCSファミリーを発見します CIS/SOCSファミリーの発見

長年の功績がみとめられ、上原賞、紫綬褒章、さらにはICIS-ファイザー賞を貰われたそうです。内容はよく解らないけどこういう凄い日本人研究者もいるのだなーと驚きです。

重症のアトピー性皮膚炎に対するJAK阻害薬使用についてのお知らせは皮膚科HPの専門医ページに掲載されていますが、皮膚科専門医向けのページですので、一般向けではありませんので見られません。ネットに新規発売の各種JAK阻害薬の概略が掲載されていますのでそれらを参照して下さい。