シミ・肝斑・レーザー

学会でシミ・アザに対するレーザー治療の話がありました。
今回は特に肝斑に対するレーザートーニングの話があり、興味深いものでした。
従来は、(現在でも)学会権威の話では肝斑にはレーザーは禁忌(やってはいけない事)となっています。一旦は色素が減っても炎症後色素沈着のために却ってしみが濃くなるからです。
 QスイッチNd:YAGレーザー「メドライトC6」は532nmと1064nmの2つの波長を搭載していて、1064nmを低出力で照射する治療法がレーザートーニングだそうです。
肝斑は中年女性に多く、女性ホルモン、紫外線の影響で悪化します。典型的な例は頬部の三日月型の淡褐色のしみで眼の周囲にはできません。また表皮基底層の色素増加であるために、太田母斑や後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)のように真皮メラノサイトはみられないために青みがかった色はみられません。
 レーザートーニングでは低出力照射による穏やかな加熱で表皮基底層のメラニン色素を非侵襲的に除去することで、炎症による皮膚の日焼け症状や色素増強を抑えながらしみを改善していくというものです。
 症例の呈示がありましたが、4,5回ほどの照射でかなり肝斑のしみが改善していました。また日光黒子、Qスイッチルビーレーザー後の色素沈着にも有効だったとの報告がありました。
勿論これは肝斑を根治させる治療ではなく、いずれ再発するとのことです。
但し、施術後2年たっても遮光のみで再発してない例もあるとのことでした。この施術を可とするか不可とするかは個人の治療に対する考え方の違いでしょうが、ビタミンC,トランサミン、ハイドロキノン位しかなかった肝斑の治療に新たな武器が登場したことは間違いないでしょう。
 またレーザートーニングの利点は、マイルドな治療法であるために、麻酔が必要でなく、ダウンタイムがないために施術後、すぐに化粧ができることでしょう。
中国、韓国などでは高度な効果を求めて、美容も形成も強力に推し進める施術が好まれるということですが、日本ではむしろ特別な施術をしていることが分からない方法が好まれるとのことです。そういう意味でも効果は緩くても日本人にあっている施術かなと思いました。

 まだ導入間もない方法のようですが、注意深く効果・副作用など検討を続けていく必要があるかと思いました。

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