にきびQ&A(9) BPOとアゼライン酸

Q:BPOとは何ですか。ニキビへの使用のメリットは何ですか。
A:BPO (Benzoyl peroxide ) (C6H5CO)2O2 過酸化ベンゾイル
過酸化ベンゾイルは一般的なニキビの治療薬として50年以上の使用の歴史があり、米国のFDAでも認可されており、石鹸への配合や、アダパレン、クリンダマイシンとの合剤も認可されています。そのニキビに対する効果はBPOの分解産物が持つ酸化作用によって Propionibacterium acnes などのニキビ菌の代謝を阻害して効果を発揮すると考えられています。BPOは化学的殺菌作用によって、ニキビ菌を殺すので抗生剤と違い耐性菌が生じにくいとされています。欧米においては中等度以上のニキビに対しては第一選択剤の一つとして使用されています。
日本国内ではまだ認可されていませんし、国内の治験が始まっていますので現在は積極的には使用できません。しかし、早晩日本でも認可され使用できるようになるはずです。
以前はグラファラボラトリー株式会社から「グラファBPエマルジョン」として2.5%の過酸化ベンゾイル配合製剤が供給されていましたが現在は新たな製造は中止しているようです。ただ、すでに医院で購入しているものの使用は制限されてはいないようです。海外では4~10%製剤があるとのことですが、日本人には刺激が強すぎるようです。5%製剤でも刺激感を訴える人がいます。3日間のピンポイントで赤ニキビに塗布すると患部の皮が剥けてきてヒリヒリと刺激を訴える場合もありますがしばらくすると軽快する例が多くみられています。(当院では2.5%と5%の使用経験がありますが、かなりの人に有用な印象があります。)

Q:アゼライン酸とは何ですか。ニキビへの使用のメリットは何ですか。
A:アゼライン酸は小麦などに含まれる飽和ジカルボン酸 (C6H16O4) で抗菌作用や抗男性ホルモン作用、毛漏斗部の角化異常による目詰まりを改善する作用があり、ニキビに効果があるということです。
面皰(白ニキビ、黒ニキビ)や丘疹、膿疱、結節への効果もあるとのことです。
20%製剤がクリニック限定化粧品として供給できます。これも塗布後に若干の刺激感、痒みなどがあるようですが比較的短期間で慣れてくるようです。アゼライン酸はBPO等と比較すると作用はマイルドなようですが、これも欧米では広く用いられる標準的な薬剤とされています。
当院での使用経験はそれ程多くないので効果、副作用などについての意見はまだ明確ではありませんが、使用経験の多い先生方の印象はよいようです。
なによりも有難いのは、ディフェリンの刺激が多く使えない方、妊婦さんにも12歳以以下の児童にもつかえることです。
アゼライン酸にも刺激はありますが、ディフェリン程ではないようですし、安全性が高く、欧米での長期の使用経験もあるので比較的安心して長期に使用することができるようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)