爪の腫瘍

爪の腫瘍について、調べてみるとブログに書きました。
それで、Baran&Dawberの教本を調べてみて、そのあまりの多さ、知らない病気の多さに今更ながらびっくりしてしまいました。爪および爪囲、指まで含めると皮膚のほぼ全ての皮膚腫瘍が含まれてしまいます。とても、身の程知らずのことをいったものだと後悔しました。止めようかとも思いましたが、引っ込みがつかない気もします。それで、内外の皮膚科の教本に従って爪に関係ありそうな疾患をピックアップしてみることにしました。
あまりに専門的な病名を羅列しても意味がありませんが、・・・。本当に皮膚疾患は数が多いと改めて認識させられました。
(◎爪周囲に良くみられる、または重要と思われるもの. 〇爪周囲にそれほど多く見られないが、重要と思われるもの.)

爪の腫瘍は、爪という特殊な器官があるために、そのできる解剖学的な部位によって、様々な変形をきたします。それに、その狭い範囲にもかかわらず下記のようにほぼ全ての皮膚の成分の腫瘍を生じます。またその始まりは微小な外傷によることが多くあります。従って、その診断は専門医といえども非常に難しく、診断が遅れることにもなり兼ねません。また良性の腫瘍でも繰り返したり、爪破壊を繰り返したりするため、治療の選択も困難なケースもあるとのことです。

<上皮細胞系腫瘍>
   良性・・・◎疣、〇エクリン汗孔腫、〇ケラトアカントーマ、〇乳頭腫、疣贅状異常角化症、
   癌前駆症・・・◎日光角化症、〇砒素角化症、〇放射線皮膚炎
   悪性・・・◎ボーエン病、◎有棘細胞癌、◎基底細胞癌、〇疣状癌、〇汗腺系腫瘍、〇脂腺癌
<軟部組織系腫瘍>
   線維性腫瘍・・・Koenen 腫瘍、acquired digital fibrokeratoma、〇皮膚線維腫、◎ケロイド、〇knuckle pad、小児指線維腫症
   血管系腫瘍・・・〇単純性血管腫、〇被角血管腫、〇動静脈吻合を伴う血管腫、〇海綿状血管腫、◎血管拡張性肉芽腫、〇リンパ管腫
           〇グロムス腫瘍、〇血管平滑筋腫、青色ゴムまり様母斑症候群、〇カポジ肉腫
   神経内分泌系腫瘍・・・〇メルケル細胞癌
   末梢神経系腫瘍・・・外傷性神経腫、痕跡的多指症、◎神経線維腫、神経鞘腫、顆粒細胞腫
   骨・軟骨系腫瘍・・・◎爪下外骨腫、爪甲下外軟骨腫、皮膚軟骨腫
   滑膜性腫瘍・・・腱鞘巨細胞腫
   脂肪組織性粘液性腫瘍・・・脂肪腫、爪甲下粘液腫
   肉腫・・・ 〇隆起性皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、ユーイング肉腫

<偽腫瘍>
◎指の粘液嚢腫
脛骨前粘液水腫
皮膚骨腫
爪甲下石灰化
痛風
<間葉系、リンパ系腫瘍>
間葉系腫瘍・・・〇若年性黄色肉芽腫、疣状黄色腫、多発性細網組織球腫
リンパ系腫瘍・・・〇リンパ腫
転移・・・・骨からのものがみられるが、極めて稀
<メラノサイト系腫瘍>
◎色素性母斑
青色母斑
◎爪甲メラノーマ(悪性黒色腫)