ニキビ

ニキビの進行
1)微小面ぽう
目には見えない毛穴のつまり(微小面ぽう、マイクロコメド)から始まります。
2)面ぽう(コメド)
毛穴の出口がつまり角栓ができた状態です。まず極小さな白色のブツブツができます(白ニキビ)。これは閉鎖面ぽうといい、表面がまだ閉じたままです。これがさらに進んで口が開くと黒色のブツブツ(黒ニキビ)となります。これを開放面ぽうといいます。
3)赤いニキビ
毛穴に皮脂が溜まり、アクネ菌が増えると炎症物質を引き寄せ、炎症が起こり赤いブツブツができます。
(毛孔性紅色丘疹)。
4)化膿したニキビ
炎症がさらに進むと、毛穴の周囲の組織にも広がり黄色い膿を持つようになります。(膿疱)
5)ニキビ痕
炎症が治まった後に赤みが残ることがあります。色素沈着となって徐々に消えていきます。ただでこぼこしたニキビ痕は一度できるとなかなか消えません。肥厚性瘢痕、萎縮性瘢痕(アイスピック型など)。
こうならないような初期の面ぽうの段階からニキビを治すことが重要です。
下記の記事を参考にして、早期に皮膚科専門医にかかり、ニキビの治療を行なって下さい。

以下は、京都大学宮地良樹名誉教授のWEB講演の要旨を参考としたものです。

にきび(尋常性ざ瘡)はごくありふれた皮膚疾患でごくわずかなものを含めるとほとんどの成人が経験したことがあるかと思います。それ程卑近な疾患なのに医師の治療を受けている人の割合は14%と極めて低く、また3割がOTCなどの市販薬を使用、1割が自己的なスキンケア、4割は無治療とのデータもあります。
皮膚科医と患者さんの意識のギャップも大きく、多くの人が1ヶ月以内に治る、中には1週間で(つるつる、すべすべに)治ることを期待して皮膚科を受診するために8割が3か月以内に治療を断念、脱落するとのことです。
このアドヒアランス(どれだけ治療を続けたいか)、コンプライアンス(どれだけ医師の治療方針に従うか)の低さは、医師の十分な説明の不足と、患者さんのニキビの病態への知識不足によることが大きいとされています。近年ニキビ治療は大きく進展し、多くの有効な治療薬、治療手技が登場してきましたが、まだ十分に活用されていないようです。
ニキビ治療の問題点
1)多くの患者さんは、ニキビは赤ニキビと化膿したニキビだけをニキビと思い、面ぽうの存在、認識がない。
2)赤ニキビは直ぐに(1ヶ月以内)に治ると思って医療機関を受診する。それで良くならないと効かないと思い、受診をやめてしまう。(3ヶ月で8割が脱落)
3)医者サイドからの予めの十分な説明が、治療を継続して脱落しないために必要。(往々にして不十分で後からの説明では言い訳に聞こえてしまう。)
・ニキビの原因 皮脂分泌の増加(性ホルモンなどの影響)、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖
・治療期間 長期間かかること、まずは3ヶ月を目指し薬を塗り続ける、根気強く治療を続けることでニキビができにくい肌を目指すことができる。
・治療ゴール 赤ニキビを治してニキビ痕を残さないこと、瘢痕の治療は困難なので早期の治療が必要
・良い治療薬が出てきたが、刺激などの副作用があること
・日常の洗顔、お肌のケアの方法など
4)以前は抗菌薬一辺倒の治療が行われていた。2008年に欧米から10年遅れながらアダパレン(ディフェリン)が発売されて毛穴の角化を取るピーリング作用のある薬剤が登場した。
2015年には過酸化ベンゾイル(BPO)製剤(べピオ)が発売されたが、これはアクネ菌へに殺菌作用がありながら、ニキビ耐性菌を作らない特徴がある。
またデュアック(BPO製剤とクリンダマイシンの配合剤)も発売された。
2016年にはアダパレン/BPOの配合剤(エピデュオ)が発売され新規薬剤のラインアップが出揃った。
これらの新規薬剤の登場でニキビ治療は国際的基準に達したが、その刺激などの副作用などで、未だに抗菌薬一辺倒の治療が行われているケースもある(特に非専門医)。
各製薬メーカーから、分かり易いニキビ小冊子も準備されているので、それらを活用して早期からのニキビ治療、介入を行うことがニキビの制御に最も重要です、とのお話でした。