菌状息肉症・バリアントと亜型

菌状息肉症(Mycosis fungoides:MF)には様々なバリアントと亜型があります。代表的なものについて記述します。
1)毛包向性菌状息肉症(folliculotropic mycosis fungoides)
表皮向性は認めないか、わずかしかみられない一方、毛包向性に異型リンパ球が密に浸潤するMFの亜型です。比較的稀れなタイプで頻度は報告により数%~10数%と開きがあります。ムチン沈着を伴うもの(50~70%)と伴わない型があります。被髪頭部では脱毛を生じます。様々な臨床像をとり、稗粒腫様、コメド(面皰)様、黄色腫様、棘状苔癬様、粉瘤の像を示したり、顔面(眉部、口唇部)の腫瘤、頭部、眉毛の脱毛例もあります。B2基準を満たし、セザリー症候群へと進展した報告もあります。しばしば痒みを伴います。このタイプは予後不良因子と考えられ、ハザード比で全生存期間が1.52であったとする報告されています。
初期病変では毛包性ムチン沈着症と診断されることもあり得ます。
治療は通常のMFに準じますが、病変が毛包に沿ってより深部であることを勘案して、ナローバンドUVBよりもPUVAのほうがより深達性があり、インターフェロンとの併用が有用との報告もあります。さらにビタミンA酸誘導体のベキサロテンが有用とされます。それでも抵抗性の場合は電子線あるいは全身療法が検討されます。
2)パジェトイド様細網症(pagetoid reticulosis)
最も特徴的な所見は病理組織で、表皮に親和性の高い異型リンパ球がPaget病にみられるような胞巣を形成しながら表皮内に浸潤します。かつては局在型((Woringer-Kolopp病)と播種型(Ketron-Goodman病)に分類されていましたが、播種型とされていた型はその後MFや原発性皮膚CD8陽性進行性細胞傷害性T細胞リンパ腫、皮膚γδT細胞リンパ腫など、他の疾患に組み入れられ、現在ではpagetoid reticulosisからは除外されています。
臨床像は乾癬様、Bowen病様、あるいはPaget病様の角化性の紅斑局面を形成します。角化が強くイボ状の外観を呈することもあります。皮疹は単発または集簇した局面を形成します。四肢遠位に好発します。大きさは数㎜から数10㎝まであります。
異型細胞は表皮向性が強く表皮の下層にPaget病様の胞巣を作りますが、真皮内にはほとんど浸潤はみられません。免疫組織学的な表面形質は多彩です。CD4陽性のほかにCD8陽性例もあります。中にはT細胞受容体がγδを発現する例もありますが、それは現在では皮膚γδT細胞リンパ腫に分類され、本症より予後が悪いです。
一般的に緩徐に進行し、予後はよいです。治療はステロイド外用の他に、光線療法、手術療法が行われます。手術困難が例では放射線療法が行われています。
3)肉芽腫様弛緩皮膚(granulomatous slack skin:GSS)
低悪性度の皮膚T細胞リンパ腫であり、早期では多形皮膚萎縮様の紅斑、局面を形成し、進行するにつれて腋窩や鼠径部などの間擦部に皮膚弛緩症様の外観を生じます。病理組織学的にはリンパ球、組織球、多核巨細胞などからなる肉芽腫様組織像を呈します。1978年にAckermanらが同症をGSSとして報告し、1999年にEORTC(European Organization for Reseach and Treatment of Cancer)が同症をCTCLの一病型とし、2008年にはWHO-EORTC分類として、MFの一バリアントと位置づけされました。治療法は他のバリアントに準じます。

MFのバリアントは上記以外にも様々な臨床像を取ります。例えば魚鱗癬様、多形皮膚萎縮性、丘疹、膿疱、水疱、乳頭腫様、イボ状、色素脱失、色素沈着、慢性色素性紫斑型、黄色腫様など実に多様性のある非典型的な型があります。これらは古典的なMFと共存あるいは非典型疹のみの害もあります。一般的に非典型疹のみの場合は予後はよいとされます。逆に古典的なMF疹と共存する場合は進行例が多いとされます。

参考文献

皮膚科臨床アセット 13 皮膚のリンパ腫 最新分類に基づく診療ガイド 総編集◎古江増隆 専門編集◎岩月啓氏 中山書店 東京 2012

濱田利久 21。 毛包向性菌状息肉症(folliculotropic mycosis fungoides) pp99-103

八木宏明 22. パジェット様細網症(pagetoid reticulosis) pp104-107

長谷哲男、和田秀文 23. 肉芽腫様弛緩皮膚(granulomatous slack skin) pp108-110

森実 真 24.その他の菌状息肉症バリアント pp111-115

標準皮膚科学 第11版 監修 岩月啓氏 編集 照井 正・石河 晃 医学書院 東京 2020
戸倉新樹 第23章 D 悪性リンパ腫とその類症 ①皮膚T細胞・NK細胞リンパ腫 pp382-391