平成25年皮膚の日

またまた皮膚の日の季節がめぐってきました。

11月12日は(イイヒフ)との語呂合わせから日本臨床皮膚科医会によって皮膚の日に定められました。この日の前後に各地で皮膚科の講演会や市民公開講座等が催され皮膚科が市民の皆様へのさまざまな情報を発信しています。
千葉県でも最近公開講座を開催してきています。この時期に丁度千葉県医師会医学会学術大会が開催され、千葉県の皮膚の日の講演会はこの学術大会の分科会として開催されます。今年の千葉県医師会医学会のメインテーマは「ワクチン」で病気になる前に病気を予防することを目指して様々な催しが予定されています。
ここで宣伝することもないですが、時間があれば是非足を運んで下さい。
皮膚科も東京歯科大学市川病院の高橋先生が水痘ワクチンについて解説されます。先日もNHKのあさイチで帯状疱疹の放送をやっていましたが、近年増えてきていて皆さん関心が高いようです。
11月4日の皮膚の日では、帝京大学の早川先生が帯状疱疹、水虫について講演されます。その市民向けの抄録を載せてみました。
また第2部ではポーラファルマによるスキンケアの解説もあります。
興味のある方は昨年と同じ会場ですので、是非お越し下さい。
皮膚の日の宣伝でした。

千葉県医師会医学会第14回学術大会 県民公開講座
日時:平成25年11月3日(日)15:10~
会場:ポートプラザちばロイヤル
講演:水痘ワクチン接種の現状と今後の展望  ―諸外国との比較からわかること―
高橋慎一先生(東京歯科大学市川総合病院皮膚科教授)

千葉県皮膚科医会「皮膚の日講演会」
第1部:みんなを悩ませる皮膚感染症
―水虫と帯状疱疹―
早川 和人先生(帝京大学ちば総合医療センター皮膚科教授)
第2部:カサカサ対策の保湿スキンケア
ポーラファルマ
日時:平成25年11月4日(月)13:00~15:00
会場:京葉銀行文化プラザ 7階会議室 楓Ⅰ・Ⅱ

みんなを悩ませる皮膚感染症
帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
早川 和人
皮膚の感染症には多くの種類がありますが、今回は足白癬と帯状疱疹の2つの疾患を取り上げてお話しさせて頂きます。足白癬と帯状疱疹はともに頻度が高く(病気にかかる人が多い) 、皆さんご自身、あるいはご家族のような身近でよく経験される感染症です。
足白癬はあしはくせんと読みますが、一般には水虫と呼ばれています。人口の4人に1人がかかっていると言われるほど多い感染症です。水虫の原因は真菌(かび)の1種で白癬菌と呼ばれています。白癬菌は高温、多湿を好みますので、靴を履いていつもむらしている足は増殖するのに格好の場所という訳です。さて水虫というとあの薬が効いたとかこの薬でかえってわるくなったとか薬の話題ばかりが出てくるような気がします。ですが、大事なのは白癬菌の正体を知り、どのように感染が起こるのかを知ることです。それによって予防する方法もおのずと見えてきますし、すでになってしまった人も効率よく治療し、再発を防ぐことができると思います。進行した糖尿病がある方などでは水虫でできる皮膚の傷害部位から細菌の感染がおこり、壊疽(えそ) と言われる重篤な状態を引き起こすこともあります。こうなるとたかが水虫とは決して言えませんね。
一方の帯状疱疹もやはり非常に患者さんが多い病気です。中高年の方がなりやすいのですが、どういう訳か10代から20代の若い世代に小さいピークがあり、小児の例もあります。つまり広い世代にわたって誰もがかかりうる病気とご理解ください。この病気の原因はウイルスですが、意外なことに小児がかかるみずぼうそう(水痘)の原因になるウイルスと同一なことがわかっています。みずぼうそうは治りますが、原因のウイルスは死滅することなくその人の神経節に潜伏し、後年にウイルスが活性化、増殖して今度は帯状疱疹を引き起こすという訳です。この病気は体の一部(しかも右か左の半分)に発症する不思議な病気です。症状はその場所の発疹と痛みで、その程度は患者さんによって差がありますが、時には顔面神経麻痺などの重い症状を伴うこともあります。症状が重いと入院が必要なこともあり、これもみんなを悩ませる皮膚感染症の代表選手と言ってよいでしょう