皮膚科の将来・続

皮膚科の将来について思うところを書きました。
講演で聴いたことや、雑誌、印刷物などで読んだことなどで、見聞きしたことと違ったことは書かなかったつもりです。しかし自分が年老いて将来の進んだ皮膚科には追いついていけないなー、というあきらめの気持ちも込めて書いたためか、将来像としては実情とかなり異なったネガティブな、あるいは実際とは異なる結論、提示の仕方をしてしまったような気持ちが芽生えました。
実際の日々患者さんの診療に努力している同僚や、周りの皮膚科医を見ているとその重要性や皮膚科医の充足の必要性がひしひしと感じられます。
皮膚科の実情を知っている人向けなら、古い皮膚科医を揶揄するような感じのことをいっても解ってもらえるような感じで書きましたが、あれを額面通りに受け取られたら、将来は皮膚科専門医はほんの一握りで十分であとは総合診療医にまかせればいいのでは、と思われ兼ねないという危惧が芽生えました。
小生はむしろ、皮膚科の専門医(特に医育医療機関、基幹病院)はもっと将来は充実すべきと思っています。
それで、蛇足ながら書き足し、書き直したいと思い再び「皮膚科の将来・続」として書いてみたいと思います。
もちろん、最先端の治療には生物学的製剤など高額な治療薬は必須でしょうが、疾患全体からすると、これが必要となるケースはごく一部です。メラノーマにしても基本は早期診断であり、ごく初期の表皮内に留まった状態ならば手術によってほぼ完治できます。蕁麻疹にしてもアトピー性皮膚炎にしてもほとんど従来の治療方法でコントロールできます。
やはり的確な診断能力と治療技術が必要であり、数多くの皮膚疾患(皮膚科は本当に数多く、1000を超す疾患があり、一生のうち一度も出会わない疾患も多くあるといいます)に短時間で対処するには長い年月をかけた修練が必要です。鍛錬を積んだ古武士が若輩の足軽に歯が立たない例えを挙げましたが、それはごく一部の新規の機械や治療法についてのことです。
やはり新人は修練を積んだベテラン医師の足元にも及ばないのは明らかです。
もちろん、AI技術や遺伝子技術や遠隔診断・治療など進んだ医療が取り入れられるのは時代の趨勢でしょうが、基本の皮膚科専門医の役割は現在とそれ程変わるものではないと確信しています。
前回のブログの主旨と異なることを述べたかもしれませんが、将来のことなど分かりもしませんが、こちらの方が小生の実際の考えです。
ただ、前回述べたパラダイムシフトは確実に進行していますし、これからの医療の問題も山積しています。“ボーっと生きてると”時代に取り残されていくのは必定かと思います。
そういった点については色々な先生が指摘され警鐘を鳴らされています。