マドリード追想

昨年10月にマドリードに行ってきました。初日だけEADV(ヨーロッパ皮膚科学会)に出席してあとは周辺の観光をしました。
EADVに行くのが自分の恒例になっていて、たまのリフレッシュになるので自分自身への労いを兼てと思ってきました。しかしながらどうせろくに内容も分からずに分かった気分になっているのも如何なものかという思いが強くなってきました。(今更と妻は呆れますが、どうせ意味無いと・・・それを言っちゃあお終いよ、と自身は思ってきていたのですが、年とともに流石にそろそろ止めどきかなーとも思うようになりました。)
しかしながら、相反するようですが、この学会に出ると、全世界(ちょっとオーバーですが)の現在の皮膚科の進歩が垣間見られてインスパイヤーされます。多くの現役の日本の皮膚科研究者はESDR(European Society for Dermatological Research) Annual Meeting:欧州研究皮膚科学会議の方へ出席するようで、臨床の会議への出席は例年多くありません。
当日も酒さ、血管炎、小児皮膚科、乾癬、ダーモスコピーのセッションなどを垣間見ました。やはりいつも素晴らしいのはPlenary Lectureです。当代の一流の皮膚科医がそのエッセンスを語ってくれます。その日印象に残ったのは、ウイーン大学のGeorg Stinglの講演でした。過去、現在、未来の皮膚科を俯瞰した講演でした。皮膚科学が達成してきた重要な5つのトピック、彼も関わったランゲルハンス細胞の皮膚免疫に関する幾多の発見、先天性表皮水疱症の遺伝子治療、HPVワクチンによる子宮頸がんの予防の進展(これについては先進国で日本だけが立ち止まっていて、WHOは苦言を呈していますが、いずれこの件については書いてみたいと思います。)、がん免疫療法などだったと思いますが、詳しくは記憶していません。あとAIなどを活用し、医師、製薬メーカー、コメディカル、患者を繋いだネットワーク、医療センターを拠点とした未来志向のより良い医療の構築への提言などだったと思います。(記憶と、英語の理解不足で違っていたらごめんなさい。)スケールの大きい皮膚科学者だと感嘆しました。
夕方疲れて帰路につこうと歩いていたら、順天堂大学の高森教授一行に出会いました。彼とは学会場でよく出会いますが、痒みの大家で常に国際学会の舞台で活躍している皮膚科医です。「やはり来ていましたか、丁度話していたところですよ、」と言われましたが、こちらはただの見物人ですが。
その夜はフラメンコとディナーに行きました。翌日からは観光です。
妻のプランでトレド、アビラ、セゴビアと回りました。小生はもっぱら運転手役でしたが、スペインの古い街々は印象深いものでした。
トレドのパラドールからの夜景、アビラの古い城壁街、セゴビアの古代ローマの水道橋、白雪姫のお城(アルカサル)などまるで中世に戻ったような感じになりました。
でも、列車内にiPadを忘れたり、高速道路の出口を間違えたり、後続の車に危うくぶつかりそうになりパッシングされたり、ことのほか老化を感じる旅になりました。
またスペインへサッカーの観戦やプラド美術館へも行ってみたい気もするけど、もう海外旅行もお終いかなーという気にもなっているこの頃です。
(mistralさんの旅ブログに旅行記あり)

トレド夜景(パラドール バルコニーより)

アビラ城壁

セゴビア 水道橋

セゴビア 水道橋