ジュネーブからシャモニへ

ブログを終了するといって、舌の根も乾かないうちに記事を書いているなんて我ながら節操が無いと思います。
でも今回で本当にしばらくお休みです。

EADV(ヨーロッパ皮膚科学会)で、ジュネーブに立ち寄って、その後シャモニに来ています。
金曜日のプレナリーセッションは京都大学の椛島先生の講演でした。メイン会場でヨーロッパの皮膚科医を前に堂々の講演でした。マラソン、トレランを趣味にする先生の講演では初めにその方面のスライドが出ることが多いのですが、今回も2週間前にUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)で100マイルを完走したスライドから始まりました。これが、今回のトークのハイライトです、とのジョークには会場からやんやの拍手喝采が湧きました。iSALTを初め、3Dイメージングを駆使した皮膚免疫の講演は聴衆に感銘を与えたと思います。でも一般の臨床医はついて来れたかなー。しかし講演の後も質問者が引きも切らなかったのはそれ程インパクトがあったからでしょう。
EADVの出席も回を重ねて会場を動き回るのには大分慣れて来ました。世界の一流の学者が講演をしてくれて、インスパイアされることは大なのですが、私の場合は「豚に真珠」の例えそのものです。何かすごいなー、と思いながら知識と語学力の不足で、実はよく理解できていません。小生の参加は趣味の領域かもしれません。
しかし、椛島先生も帝京の渡辺先生も常々言われるように志ある若い日本の皮膚科医はもっと世界に出ていってプレゼンスした方がいいと思います。ガラパゴスのままで満足しているとアジアでも中国、シンガポールなど世界に置いていかれるかもしれません。いっぱい若い優秀な人達がいるのに、と思います。(It’s none of your business ! と言われそうですが。)
金曜日の夜は、友人とフォーシーズンズの最上階にある、Izumiというレストランでディナーと美味しいワインをいただきました。いつも一人でB級グルメかカップラーメンを食べる小生にとっては贅沢なひと時でした。
土曜日の午後は会場を離れて、ジュネーブの旧市街を散策しました。ヨーロッパの大きな街は大抵古い伝統を誇っていて、ジュネーブもその例にもれない街でした。時間がないので、ルソーの館はスルーして美術・歴史博物館に行きました。これもまた贅沢なひと時でした(学会もちゃんと行けよ、と言われそうですが)。
その後はバスでシャモニに移動しました。
長くなるのでシャモニの記事は次回に。

追記

今回、学会に出て印象に残ったこと、日本の医師の医学界への貢献ついて。

小児皮膚科学のセッションも内容が濃くて興味を惹かれるので、時々覗くのですが、今回は内容は兎も角、聴いていて日本人も結構貢献しているのだなーと思いました。(特に母斑症を初めとしたgenetics、小児の緊急性のある疾患などは、いつも圧巻です。)
講演の中で、普通に川崎病、永山班など出て来ます。感染症では大村先生のイベルメクチンも出て来ます。regulatory T cell などはもう当たり前のように出て来ます。薬疹とウイルスのセッションでは、DiHSという略語を初めて聞きました。ヨーロッパではどうも薬疹のセッションではDRESSと言う語が中心でついぞDIHSという語は聞いたことがありません。いつか浦安の医会で新潟の阿部先生にどうして外国ではDIHSを使わないのかと質問したことがあります。我ながら無茶な質問をしたと思いましたが、一寸困ったような顔ながら丁寧に回答して下さいました。発音の響きがDRESSの方が良いこと、国によっては日本のようにウイルスの抗体価が簡単に測れず、広く行き渡らないことなどといったことだったと思います。
(小生はフランス人のプライドのようなものもあるのか、と下衆の勘繰りをしてしまいましたが)。でも今回はDIHSではなく、DiHSでしたが日本人グループのウイルスの再活性化、免疫再構築についてちゃんと紹介していました。

ことほど左様に日本人は世界に貢献してきましたが、この先もこれまでのような日本人の活躍が続くのか、先の先生方の心配の話もあり 誇らしさの一方で一寸気がかりでした。

ジュネーブ遠景

ジュネーブ学会場 Palexpo(26th EADV Congress)

ジュネーブコアントラン国際空港に近接していて便利

ジュネーブ中央駅(コルナヴァン駅)

電車で空港までほんの10分足らず