ウイーンにて(1)

ウイーンに来ています。ワルシャワ経由です。今年の9月から、成田直行便が無くなったそうです。日本からの乗客が少なくなったからとか。その分、中国便は増えたそうです。また米国ロサンゼルス便や香港便は新設だそうです。東南アジアや香港便など週に何便も飛んでます。ウイーンに着いたらKALのマークの飛行機も停まっていました。日本からの旅行者はそんなに少ないのでしょうか。
飛行場からエアポート・トレインでウイーン中央駅まではノンストップ16分、地下鉄に乗り換えて、直ぐにオペラ座までやってきました。大分前に泊まったホテルアストリアにまた予約しました。高級ホテルではないものの、オペラ座から直ぐ近くですし、ケルントナー通りも直ぐ前です。
オペラ座の正面のスクリーンを見たら、薄れていた記憶が蘇ってきました。現在上演しているオペラをライブで野外にも観せているのです。部屋は中庭に面して決して広くはないけれど、1人では十分です。
EADVの学会場は、地下鉄で行きます。ドナウインゼルの先の駅でした。インゼルといえば、懐かしい言葉です。多分中洲といったような意味ではないでしょうか。かつて若い頃、よく穂高に登っていました。前穂東壁という岩場があって、その基部の下方に奥又白の池がありました。松高ルンゼを登り、そこでテントを張って登攀の基地にしていました。その上方には急峻な雪渓があり、それを分けていた盛り上がりがインゼルと呼ばれていました。そういえば昔の登山用語には随分とドイツ語がでてきます。シュタイクアイゼン、ハーケン、ザイル、ドッペルゲンガー、リス、リンネ、カンテ、ザイテングラート、ラピーネンツーク・・・戦前の登山用語は、欧州特にドイツ語圏から仕入れたのでしょうね。
それはどうでも良いことで。
こちらでもメラノーマの最新治療の話をしていました。最近は日本でも最新の話を聞くので、そんなにびっくりしませんでした。免疫チェックポイント阻害薬では、本庶先生の写真もでてました。しかしもうひとつのイピリムマブでは他に数名の学者の写真紹介もあり、ノーベル賞も独り占めではないのでしょうか。
治療効果の説明で、免疫チェックポイント阻害薬は、効果は低いものの、一旦効くと 長く続くので、ロングテイルというそうですが、それをオナガザルみたいな小動物に例え、分子標的薬はかなり効くけれども、すぐに耐性ができ効きにくくなるので象の尻尾に例え、これからは恐竜のように胴体も尾も大きな物にしていかなくてはならないといってましたが、中々説得力のある例えと思いました。
夕方からは、ウイーンの旧市街に戻り、シュテファン寺院から、モーツァルトハウスに行ってみました。モーツァルトがウイーンに来て3年住んでいた家だそうです。日本語の音声ガイド付きで色々と説明してました。天上から降り注いでくるような音楽で浮世離れしていたのかと思ってましたが、結構俗っぽいところがあったようでびっくりでした。結構名誉欲や、物欲もあったようで、賭け事やカードが好きで、収入があっても経済観念がなく、社交などで散財し借金をしまくったそうです。引っ越しも数十回したそうです。当時の家具などと共に、楽譜も展示してありました。死の床につきながら書いたというレクイエムもありました。
近くで、ウインナーシュニッツェルとビールで腹ごしらえをして夜は学友協会でモーツァルトコンサートを聴きに行きました。楽士が当時の衣装で演奏し、歌ってくれました。よく耳にするモーツァルトの曲を演奏してくれて、最後はヨハン・シュトラウスの美しく青きドナウで締めてくれるサービスでした。満足してホテルに帰りました。