小児の白斑

先天性の白斑と後天性の白斑がありますが、頻度では後天性の白斑が圧倒的に多数を占めます。
通常の外来でよくみられる(相談を受ける)白斑を中心に述べてみます。
【後天性白斑】
◆尋常性白斑・・・前に書いたので省略

◆顔面単純性粃糠疹・・・いわゆる”はたけ”のことです。学童期の頬や下顎に生じる直径3cm位までの境界が不明瞭な、表面に非常に細かい米糠ようの鱗屑を伴う不完全脱色素斑です。軽度の痒みを伴うこともあります。男児に多く、健常人の約1割にみられる程、日常よく見られる皮疹です。アトピー性皮膚炎の人に生じやすく多くは保湿剤のみで軽快します。あるいは放置してもいずれ(1年以内または思春期まで)に自然治癒します。ただ日焼けによって健常部との差が目立つこともあるので遮光は有用です。炎症後の色素脱失との説もありますが、詳細は不明です。

◆癜風・・・癜風菌(Malassezia 属(とくにM. globosa)による浅在性真菌症です。青年の躯幹上部に1-3cm程度の淡褐色斑または脱色素斑を生じますが、顔面、頚部に生じることもあります。表面に鱗屑を付けていて、メスで擦ると大量の粃糠様の鱗屑がとれ、癜風菌がみられます。色素異常の詳細は不明ですが、癜風菌由来の産物がチロシナーゼ活性に異常をもたらすためと考えられています。不完全色素脱失斑を呈します。

◆炎症後の白斑・・・様々な皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、乾癬、エリテマトーデス、感染症、薬剤など)で炎症がおさまったあとに色素沈着、色素脱失をきたすことがあります。熱傷のあとでもよく見られます。

◆Sutton母斑・・・別項で

◆Vogt-Koyanagi-Harada 病・・・別項で

【先天性白斑】

◆全身型・・・眼皮膚白皮症、Hermansky-Padlak syn. Chediak-Higashi syn. Griscelli syn. 前に書いたので省略

◆限局型・・・脱色素性母斑、まだら症、結節性硬化症、伊藤白斑、Waardenburg症候群、遺伝性対側色素異常症
これらは非常に稀な疾患ですが鑑別に重要なものもあり、後述