一年の終わりに

早いもので、もう今年も終わりになろうとしています。古都奈良で暫しの骨休めをしているところです。
ここのところ、皮膚科の難しさに些か迷いを感じています。ブログを書いていても一直線に考えが進まない思いです。元々自分自身の考えはあまりないので、専門家の講演とか教本を書き写していてなるべく客観的な記事を心がけているつもりですが、では何が客観的で何が正確なのだろうというと結構難しいです。医学、科学の進歩は目覚ましく、皮膚科の分野でも疾患の原因遺伝子が発見されたり、病態、病因が明らかにされたりしています。しかしながら生身の 人間相手の日常診療の現場では、対応に専門家の間でも意見の相違する事柄も多々あります。
皮膚科学は近年長足の進歩遂げています。(少なくとも免疫学、分子生物学の進歩を応用した原因、病因論などは)。
では実際に皮膚病の患者さんは満足しているでしょうか。皮膚科医は胸を張って患者に向き合えているのでしょうか。例えばアトピー性皮膚炎、乾癬、ニキビなどの慢性疾患の患者満足度をみればその低さは驚くほどです。専門の先生方の堂々たる講演はとても素晴らしいと思いつつも、実は多くの患者さんは決して満足はしていないのです。
自分ではこうかなー、などと考えることもありますが、下手な考え休むに似たり、ともいいます。個人的な乏しい経験よりもその道の専門家の意見に従ったほうが間違いがないのは当然でしょう。
医療は生き物なので時とともに変わっていくのでしょうし、日本皮膚科学会のガイドラインだってかわっていくでしょう。
数学や物理学のように公式、定理はないのは当然です。それでも専門家の話を聴いてせめて時代遅れの医者にならないように来年も見聞きした事を書いていこうと思います。
皆さまよいお年をお迎えください。