アルプス紀行(6)

ボルツァーノにお昼前に着いて、14時過ぎの電車の時間まで多少の時間がありました。一寸懐かしい感じがして、またヴァルター広場へと足が向かいました。そういえば広場の隣にドゥオーモがありました。いつもながら教会はシンとしてひんやりとして、信者でなくても何か心が引き締まります。しばし椅子に座り正面の祭壇を見遣っていました。そして旅の無事を感謝しました。本来ならば先に来ておくべきところでしたが。
また広場に出てみると真夏の陽射しが眩いほどでした。昼間ながら、長旅もほぼ終わりに近づいて、とりあえず無事に帰って来られたので、カフェでビールを飲みながら一休みしました。
思い返せば、ボルツァーノに到着した日、アパートの場所が分からず苦労しました。親切に教えてくれた人、エアコンが故障で扇風機でしたが、お詫びに翌朝の朝食を付けてくれて美味しかったので印象はかなり良くなった事、次のホテルもコーヒーポットもなくお茶も飲めない、と思っていたのに、頼んだら紅茶と共に準備してくれたし、Rittencardという南チロル地方での交通パスも頂いた事など、様々なホスピタリティがあった街でした。名残惜しく、できればまた訪れたい想いを抱きながら列車に乗りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェローナで乗り換えて、海の中道を通り夕方ヴェネツィア、サンタ・ルチア駅に着きました。今宵の宿は、帰りの空港までの便を考えて、駅からわずかに4、5分でローマ広場にも直ぐの所に決めました。やや古めのホテルながら、バスタブもあり、旅の疲れも癒やされました。一休みしてから、夜の街歩きにでかけました。夜の8時を過ぎてもまだ空は明るく、夜とも思えません。人々の流れに沿ってリアルト橋までやって来ました。ここだけはかつてツアーで来た時の記憶があります。まるで昼間のような賑わいでした。次第に暮れなずんできた街並みを彷徨いながらサン・マルコ広場へとやってきました。ここも人々で一杯です。しばし歩き回り、生バンドのあるカフェで休みました。ワインを飲みながら夜遅くまで演奏を楽しみました。聞き馴染みのある映画音楽や、ビートルズ・ナンバー、さらにダンス音楽なども心地よかったです。カップルが広場で曲に合わせてステップを踏むのもヨーロッパならではのことなのでしょう。隣ではジャズ・バンドの演奏もやっていました。アルプス旅行も無事に終わり、心地よい音楽に何時迄も身を委ねていたい気持ちでした。夜中までずっと居たかったけれども、帰りがあるので、11時過ぎにお暇しました。翌日はバポレットに乗って、運河からまたサン・マルコ広場まで行きました。午後は早めにマルコ・ポーロ空港まで移動して、無事にチェックインし、ああこれで、恙無く旅が終わったと安堵した事でした。(アルプス紀行 終わり)