アルプス紀行(4)

翌朝は、天気もよく朝食後早速、車に飛び乗りミズリーナを目指しました。清々しい朝です。車もまばらで空はあくまでも青く高く、期待に胸弾ませて車を進めました。ミズリーナ湖も美しく朝日に輝いていました。ところが次第に路肩に車が多くみられるようになりました。Tre Cimeの入り口から有料道路が始まるはずです。次第に車の渋滞が始まりました。そしてなんと入口近くで警官が旗を振っています。この先の駐車場は満車で通行止めだからUターンしろ、とのことです。そして何と道端にはバス待ちの観光客の長蛇の列が並んでいます。仕方なくUターンして駐車場を探しますがどこも満車、路肩に停めるべく、先の道路を進みました。バカンスシーズンの観光地の真っただ中に飛び込んでしまったことを思い知らされました。行けども行けども車列は尽きない、やっと路肩に停めましたが、元の場所に戻るまでに20分程歩かされました。呆然としながらも20ユーロ出して往復切符を購入。列の最後尾に並びました。バスは来れども、積み残し。ああ、これはダメだ、今日はあきらめて明日の明け方出直そうか、と思案しました。しかし待つこと小一時間、やっと満員バスに押し込まれました。予定より2時間ほど遅れてTre Cime入り。その1周コースは4、5時間ほどかかるはず。もう10時過ぎで年寄りの遅い足で大丈夫だろうか、と一寸不安になりましたが、人は多いし、天気は良いしゆっくり歩いてもいいはずだと思い、歩を進めることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

駐車場のすぐ上のオーロンツォ(Auronzo)小屋から岩壁の下の水平の幅広い道を歩き始めました。観光客が列をなして続いています。30-40分も歩くとラヴァレド(Lavaredo)小屋に着きました。ここから小屋を右手に見て直登する道と、ゆるくジグザグに斜上する道に分かれますが、いずれも直ぐにラヴァレドの見晴らしの良い鞍部に出ました。ここまで小1時間程ですので、多くの観光客が登って来ます。ここからかの有名な三岩峰が間近に望めるようになりました。左からチマ・ピッコラ(Cima Piccola)、チマ・グランデ(Cima Grande)、チマ・オヴェスト(Cima Ovest)といいます。ここからさらに進めば、ロカテッリ(Locatelli)小屋に続きますが、小生はショー十・カットして北壁の下を通るコースをとり、ラングアルム(Langalm)小屋を経由して、オウレンツォ小屋まで戻りました。チマ・グランデの北壁は垂直に切り立っていて、ここを登る人がいるなど想像を絶します。しかし、かのカシン、ボナッティ、オッジョーニ、ブールなどが活躍した場所なのかと感慨を新たにしながら歩きました。岩の道ながら所々に小さな高山植物も咲いていて、心なごませるものでした。ラングアルム小屋の辺りは草原になっていて、皆が三々五々に休んでおり、小生も寝転がってチンネの遠景をしばし眺めました。
陽の高いうちにミズーリまで下り、一休みしようとおもいましたが、駐車場は路肩も含めて、車で溢れかえり、とても停める余裕がなく、残念ながらそのままホテルまで帰りました。小生のアルプスの旅も明日のコルチナ・ダンペッツオを残すのみとなりました(続く)。