金属かぶれ

金属による接触皮膚炎(かぶれ)についてまとめてHPにアップしました。
金属かぶれは時計やネックレス、イヤリングなど、一見して誰でもわかるようなかぶれもありますが、なかなか原因がわからないものもあります。例えば、ズボンのポケット部分のかぶれ、一見して金属とは何の関係もないようですが、よく聞くと鍵の束をいつもポケットにいれていたりします。汗をかいたりすると、金属はイオン化して溶けだします。そして衣服を通して肌に付き、アレルギー反応を起こすという訳です。ジーパンの裏側に付いている留め金によるかぶれもよく目にします。特に女性は肌着などで覆わずに直接肌に着けているようです。見るからに金属かぶれと思いますが、意外と本人は自覚していないこともあります。ここらまではまだ初級編といってよいですが。
 続いて、セメントによるかぶれ、なめし革(クロムなめし)によるかぶれの原因がクロムという金属によるかぶれとはなかなか考えが及びません。金属なんか触っていません、と言われることもままあります。水銀によるかぶれも注意を要するものです。かつては水銀体温計の破損による水銀蒸気による水銀皮膚炎、赤チンなどのマーキュロクロムによる水銀皮膚炎をみたものですが、今では禁止薬物になっているために見かけなくなりました。水銀を含むチメロサールは現在もワクチン、殺菌消毒薬として使われていますが、これらのアレルギーは水銀ではなく、チメロサリチレートによるものとされます。いってみれば、これらは金属かぶれ中級編です。
 更に金属には口腔内や消化管から吸収されて全身性金属アレルギーを起こす事もあるといいます。歯科金属アレルギーでは有名な掌蹠膿疱症を始め、汗疱(異汗性湿疹)などは確かにパッチテストが陽性になったり、金属アレルギーを示しますが、歯周炎などの病巣感染も大きく関与し金属を除去して治るというような単純なものではありません。
そして、チョコレート、貝類、五穀米のヒエによる金属アレルギーもあるとのことで食物にも結構金属が入っていることを最近知りました。ただ、パッチテストでも陽性に出ず、除去試験・負荷試験してはじめて結果がわかることもあるようです。こうなるともう訳がわからなくなります。上級編というか、難問、奇問編ともいえます。
全てに対して、避けることなど無理ですが、金属アレルギーの概要、原因を知ることはさまざまな金属に囲まれた現代人には有用な事かと思い、まとめてみました。

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