顔のシミ

イスタンブールの学会の最後の日には、Management of hyperpigmentation(色素増強症の管理)というセッションがあり、肝斑の話やハイドロキノンの話などがありました。流石に色素の話となると講師もインド人やブラジル人などカラードの先生方が多くでてきました。マイアミのAADの時も黒人の講師でした。やはり、シミについては白色人種よりも有色人種の方がなじみが深く、問題も多いのでしょうか。
この分野においては、日本人の活躍もめざましいものがあります。Fitzpatrickの教本の色素増強症の項目をみると、nevus of Ota, nevus of Ito, nevus of Horiなどの名前も見受けられますが、これらは日本人皮膚科医の名前のついた病名です。
例によってこの項目も帰国してから調べてみたレポートです。
 以前千葉県皮膚科医会で帝京大学の渡辺晋一教授がレーザーの話をされました。先生は世界に先駆けて太田母斑をQスイッチルビーレーザーで治療し、治癒しうることを報告された先生です。
Watanabe S, Takahashi H. Treatment of nevus of Ota with Q-switched ruby laser.
N Engl J Med: 331:1745-50.
講演会の後の立ち話の際に顔のシミの話もされていましたが、シミを主訴に受診する患者さんで、結構誤解が多いとの話もされていました。肝斑やそばかすと真皮メラノサイトーシスとの混同、眼の下の「くま」といって受診する人の多くが真皮メラノサイトーシスだったりという具合です。
 かつて、渡辺先生は顔のシミを主訴として来院した患者さんの統計をとったそうです。
多い順に老人性色素斑、両側性太田母斑、脂漏性角化症、肝斑、太田母斑、炎症後色素沈着、色素性母斑、などの順だったそうです。シミといって受診してもこれ程多い(あるいはもっと多い疾患)の寄せ集めということです。当然疾患が異なれば経過、予後、治療方法も異なってきます。
それで、渡辺先生の記述をもとに顔のシミについて調べてみることにしました。
小生にとっては複雑でよく解らない顔のシミです。幾多の美容専門の皮膚科医がネット上で解説される中で、どこまで整理して正確に説明出来るか一寸?ではあります。