リマーヒューストン

飛行機は真夜中のリマを飛び立ちました。6,7時間のフライトでヒューストンに近づいていきました。夜間飛行のなか皆眠りについて静まりかえって暗くなった機内から目を窓に転じると、窓の外はようやく明るくなっていき、朝焼けもきれいです。飛行機は音もなく光の海の中を進んでいきます。ふっと、ジェットストリームを思いだしました。 青春時代にFMラジオでよく聞いていたあの城達也の音楽番組の名ナレーションです。 「遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休める時、はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流はたゆみない宇宙の営みを告げています。満天の星をいただく、はてしない光の海をゆたかに流れゆく風に心を開けば、きらめく星座の物語も聞こえてくる、夜の静寂のなんと饒舌なことでしょうか。光と影の境に消えていったはるかな地平線も瞼に浮かんで参ります。日本航空があなたにお送りする音楽の定期便ジェットストリーム。皆さまの夜間飛行のお伴を致しますパイロットは、私、城達也です。」深夜のFMラジオから聞こえてくる外国の曲とそれにちなんだ何か現実離れしたような夢のようなナレーションは外国を知らない者の旅心をいやがうえにもかきたてたものでした。そして、いまでも車の中でそのCDを聞いていると、気持はあの70年代の若かった頃に戻っていきます。 窓の下にようやく明けだした夜明けのヒューストンの街が見えてきました。早起きの車のヘッドライトが見え、豊かな森に囲まれた家々が散在してみえます。街灯はオレンジ色に光って暖かい感じです。20年も前初めてアメリカの地を踏んだ時、街灯の色がオレンジ色に光り、蛍光灯の白々した色と違うのに感銘を受けた記憶が蘇りました。もうふた昔前の心細いながらも一寸高揚したような気持ちを思いだしました。ああもうそんなにたってしまったのかと思いました。ヒューストンはやたら大きな空港でした。たかがトランジットなのに、両手の指紋を取られ、顔写真までとられました。しかも行きも帰りも。彼の地に最初に降り立った時も、所持金のことで税関にいちゃもんをつけられました。それがトラウマのように残りどうもアメリカの税関は気にいりません。人を犯罪人扱いにして、と内心思ってしまいます。それでいながら何かまた怖いもの見たさ、というかボディチェックのおじさんに話しかけていました。やたら人なつっこい人だなと思いましたが、それもそのはずで私の妻は日本人です。以前岩国にいました、といってました。海兵隊上がりの人でした。彼の地の人は個人的にはナイスガイが多く好きですが、国となるとあまり好きではありません。何かずっと米国行きは外してきた感があったのですが、また旅行してみたいと思いつつ、成田への機内の人となりました。 朝焼け.jpg

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