乾癬に対する生物学的製剤

乾癬性紅皮症(膿疱性乾癬)の患者さんが、久しぶりに外来にみえました。長年、コントロール不良で、小生の手に負えず、チガソンやシクロスポリンを内服しても奏功せず、ビタミンD3もあまり効かず、他に有効な薬がないので、ステロイドの外用剤を続けざるをえませんでした。ひどい時は多くつけてもいいから良くなったら減らしてね、というのが精一杯の指示でした。良い知恵もないままお話と投薬が主体で、良くもならないのに、小生を見捨てずに通ってきてくれていました。時には有効な手立てを講じられない小生への不満やイライラも訴えられましたが。
生物学的製剤が使えるようになってからは、幾度かその説明をし、DVDなど見て貰って使ってみたらどうかと打診していましたが、高額なこと、副作用のことなどで、なかなか重い腰が上がらないようでした。高額医療の助成金制度のことを話しても気が進まないようでした。
そうこうするうちに、悪化して食事もままならず、皮疹も悪化してどうしようもなくなって寝込んでしまったようです。
かつて何度かお願いして診て貰った病院に、悪くなった時には受診するよう紹介状を書いておきましたが、それを持ってやっと専門病院を受診してくれ、入院の運びとなりました。
そして、インフリキシマブの点滴治療を受けて退院して久しぶりに顔を見せてくれたという次第です。
一目みて、こんなに明るい、すがすがしい顔をした患者さんの顔をみたのは何年ぶりかと、自分の目を疑ってしまいました。
あれから1か月もたたないのにすっきりした顔をして、体も落屑はほとんどありません。変形していた爪までよくなってきています。
「先生のところで、何年も治らなかったのに、こんなに良くなったよ。」との言には苦笑いというか、汗顔の至りというか、返す言葉もありませんでした。
いままで、生物学的製剤の有効性をHPでも書いてきましたが、それはあくまで講演会での聞きかじりで、実際に経験したものではありませんでした。
このように目の前に驚くほどの効果を見せられて、うなってしまいました。これ程までの凄い薬とは・・・。
ただ、これは始まりの一歩で、この先、感染症との闘い、二次無効の心配など越えなければならない山は沢山あるでしょう。
しかし、こんなにうれしそうで、積極的な顔をみてこの先この患者さんの人生に幸あれと、願わずにはおれませんでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)