「岳」

先日書店のカウンターで「岳」という名のまんが本が積んであるのを目にしました。山岳という言葉には敏感に反応する方なので、一寸気になり数冊を買ってみました。
一寸荒唐無稽だな、毎回遭難の話は沢山だな、などと思いながら気になりつつ16巻まで買ってしまいました。
「岳」は石塚真一による山岳コミックです。山岳救助ボランティアの島崎三歩が主人公で三歩は穂高の山の中にテントを張り、住処としています。
幼なじみの山仲間で今は長野県警北部警察署の山岳遭難救助隊のチーフをしている野田正人や、新人の椎名久美、エアレスキューの牧英紀などを中心に山岳遭難救助の物語が進行していきます。
原作はコミック本なので主人公の三歩は言ってみれば山のスーパーマンとして描かれています。気は優しくて力持ち、遭難者を決して非難せず「よく頑張った」が口癖です。どんな悪天でも、どんな難所でもボランティアで出動していきます。一寸現実にはあり得ない話ですが、山の描写や周辺の状況は臨場感があって、実際に即していますので物語に引き込まれてしまいました。特に山の描写は精密で見ていてああ、あそこの場所だな、と想定できる部分が一杯あってまるで自分がその場を経験している気にさせてくれます。
原作本を読んでいて、映画化されていることを初めて知りました。早速、DVDを借りて観賞してみました。小栗旬と長澤まさみが主演の映画で原作に比較的忠実に作ってありましたが、全部のエピソードを網羅できるわけではないので、一応完結した別の作品として観ました。彼らの頑張りも見ものでしたが、山の実写がやはり見ごたえがありました。
職員に話すと、去年結構評判になっていましたよ、とのことでしたが恥ずかしながら初めて知りました。
最近本屋のコミック売り場をうろうろするので’変なおじさん’と思われないかと一寸気になりますが、三歩の更なる活躍を期待したいところです。
でも山岳救助の物語なので仕方無いにしても毎回遭難者がでてきて、結構中高年者も取り上げられているので、わが身を振り返って一寸重苦しく辛くなることもあります。

最近、うろうろついでに坂本眞一の「孤高の人」もみつけて読みましたが、こちらは一寸マニアックですかね、新田次郎の原作を種本にしてあるから仕方ないけれど加藤文太郎と同じように最後に主人公が雪山に消えていくのが辛いです。

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