爪の講習会

先日、EADV(European Academy of Dermatology and Venereology)のWEB講習会を聴講しました。
新型コロナウイルスの蔓延で海外学会も現地開催中止に追い込まれていますが、その副産物とでもいうか、WEBでE-learningの聴講ができるようになりました。
現地に行かなくても、その道のスペシャリストの講演が家にいながら聴講できるのは有難いものです。
爪の履修コースは8つのモジュール(履修単位)からなり、コース聴講が終わるごとにテストで内容の確認をするようになっています。そして全てのコースを修了するとcertificate(履修証書)が授与される仕組みになっています。
コースは、解剖病理、手術のやり方、病理標本の提出方法、良性腫瘍、悪性腫瘍、陥入爪、過彎曲爪、爪乾癬、爪扁平苔癬、感染症(細菌、真菌、ウイルス、熱帯感染症他)、小児の爪、先天性疾患、精神・心理的異常、爪のダーモスコピー(onychoscopy)等広範囲に網羅的な話題が取り上げられていました。
本邦においても爪に関する著書、教本、雑誌の特集は多くみられます。中でも東先生の「爪―基礎から臨床まで」は単独著書で名著として多くの皮膚科医に読まれているようです。
また「カラーアトラス 爪の診療ガイド」は多くの専門家による網羅的な爪の教本で綺麗な写真と分かり易い解説は臨床家のためになります。また時々刊行される爪の特集号は最新の知識をアップデートできます。(例えば皮膚科の臨床 付属器疾患 特集号など。)
学会でも爪のセッションが組まれ、その分野の専門の先生の解説が毎回行われます。しかし今回のEADVの爪の研修コースのように網羅的なものはなかなか組み込むのは難しいようです。
著書にしても欧米ではBaran&Dawberのような膨大な教本があります。本邦でもそのような大著書は発刊されるのでしょうか。
爪はヒトの体の中では極一部、面積的にはとるに足らない器官ですが、たかが爪されど爪、こういう講演に触れるとその奥深さを思い知らされます。
日常診療ではその極一部にしか触れる事はありませんが、患者さんにとってはQuarity of Lifeを左右し兼ねない大きな疾患もありうると再認識しました。