新型コロナウイルス雑感

この1ヶ月新型コロナウイルスの感染拡大は留まるところを知らず、全世界に燎原の火のように拡大してきました。まさに全世界にパンデミックです。
当初は武漢はひどいもののこれ程までに全世界にまで拡大するとは思い及びませんでした。当初はWHOをはじめ、専門家と言われる人もそれ程危惧するシロモノといった扱いではなかったように思われます。今や誰もが単なるインフルエンザと同じものとは思っていません。むしろどちらかというと過度に恐れパンデミック、パニックに陥っているかのような状況です。
こうしてみるとこのウイルスに対する真の専門家などWHOを含め誰もいなかったということが解ってきました。勿論ウイルス学、感染症、公衆衛生の専門家がマスコミに登場し、解説されています。それぞれ今までの知見に基づいた専門知識を披歴され、そこからの提言ではありますが、実は誰も過去にこのウイルスにまみえた経験はなく、初見参なのです。先のことなど誰も正しく予見することなどできないのです。またこの疾患の難しいところは医学だけでは解決しないだろうということです。社会学、経済学、政治学、国際協調などまで抱合しないと解決しないことです。何が正しい施策か分からないことです。
大元の中国は他国の蔓延もあってか、ややインパクトが薄れ気味ですが、なお感染は拡大中です。日本はというと徐々に拡大中でここ1~2週間が瀬戸際とのことですが、さらに感染は拡大中です。諸外国からは日本は故意にPCR検査を控えていて、感染総数を低く見せている、との批判も見られるようです。確かにそういった面もあるように思われますが、現状では結果的に積極的に検査している韓国、イタリアなどよりも死亡者数は低くなっています。
厚労省がどのような意図であるかは分かりませんが、検査総数を絞っていて、パンデミック、医療崩壊はまだ起きていません。
個人的には軒並み全例PCR検査には反対です。その理由は、感染のリスクが最も高いのが気管挿管の際で、喉からのスワブ検査も咳、くしゃみなどの飛沫による感染のリスクが最も高いのです。検査には防護ガウン、ゴーグル、マスク、手袋装着の上で陰圧室が要求されるとあります。このような設備はまず市中のクリニックにはありません。咳、くしゃみなどの飛沫が付着することで医療従事者が感染するリスクが高くなります。そこに患者が集中するとまさに感染クラスターになります。安全に全数のPCR検査ができるならそれが理想ですが、人数、コストは有限です。感染率を出すのが目的ならば必要ですが、むしろそれは避けて重症者に総力を集中すべきです。ただ、海外メディアが批判をするのに対しては、毅然としてその理由を英語で全世界に反論すべきです。”感染が少ないとごまかすために検査を絞っているのではなく、それを行うコスト、リスクを勘案すれば行うべきではなく、少ない人、金の資源を必要な部署に集中すべきであると、医療崩壊を避けるべきであると”。ゴーン事件でも国際的な批判を浴びましたが、日本人は敢えて、喧嘩、反論するのは浅ましい、わざわざ口に出して言わなくても通じるだろう”という感覚があるように思いますが、こと外人にはそれは通じないことは少ない留学経験でも感じます。徹底的に言葉で論破しないと相手は納得しないのです。でも逆に理論で納得すれば、考えが変わることもあるかと思います。
それとは相反するようですが、やはりキッチリと診断を付けることは重要かと思います。以前のことかもしれませんが、医師がコロナが疑わしいと思っても、迅速にPCR検査が施行できないのは、諸外国と比べても問題ありでしょう。どっちつかずで、結局重症化してから陽性となり、そこで濃厚接触者を探し出すのは本末転倒でしょう。より安全、迅速な検査ができるようになることを切に望みます。
新型コロナウイルス感染症はまさに全世界で現在進行形でこの先どうなっていくのか誰も分かりませんし、全世界の人々が必死に戦っている最中です。残念ながら限界状況に陥ると人々は疑心暗鬼になり、他を攻撃、排除するようになります。むろん、人道的な心温まる報道も散見はされますが。
本当にこの新型コロナウイルスは分からないことだらけで、何の恨みがあって人々を苦しめるのだろう、と怨めしく思います。しかしそれでも、世界中の人々の頑張り、助け合いを信じたいと思います。

補遺
本をみた受け売りですが、コロナウイルスはインフルエンザウイルスと麻疹ウイルスの共通の特徴を持ちます。SARSのアウトブレイク(2003年2月)以前は、コロナウイルスは成人のウイルス性上気道炎の最も多い原因の一つとして知られていました。それはライノウイルスに近似していました。このウイルスは気道上皮細胞に接着し、細胞質内に侵入増殖します。重度の組織障害は主にこのウイルスに対する宿主の過剰な免疫反応の結果と考えられています。このウイルスの伝播経路については不明な点が多いですが、感染性のある飛沫へのヒトーヒト接触で伝播していると考えられますが、その他に接触(糞口)感染や空気感染も考えられています。SARSの際は呼吸器分泌物に対する予防策が不完全であった医療従事者が主に感染しました。また糞便中にも排泄され、壊れた下水システムが原因で共同住宅にアウトブレイクが発症したケースもありました。
これらの危惧は最近のライブハウスや大型客船のアウトブレイクで実証された感があります。