血管炎類似疾患

皮膚血管炎に類似した臨床症状を呈しながら、病理組織学的に血管炎を認めない一連の疾患があります。血管炎類似疾患といいます。
その中では大きく、出血性血管病変と閉塞性血管病変に分けられます。
下記のように分類されていますが、疾患は多岐にわたり、稀少疾患も含まれています。鑑別も大変で、疾患内容によっては当然ながら治療法も違ってきますし、中には急激に悪化し、早期診断・治療を行わないと重篤な状態に陥り、予後不良な疾患も含まれています。
聞いたことも、見たこともない疾患ばかりですが、列記してみました。
Ⅰ.出血性病変
1)止血機構の障害
A.血小板異常・・・特発性血小板減少性紫斑病、症候性血小板減少性紫斑病、本態性血小板血症、血小板機能異常
B.血液凝固・線溶系異常・・・血友病、von Wilebrand病、後天性凝固因子異常
2)血管壁の破壊、機能低下
A.血管に対する毒性・・・病原微生物(ウイルス、細菌、真菌、リケッチャ)、薬剤、化学物質、虫刺
B.血清、血漿蛋白異常・・・高ガンマグロブリン血症、マクログロブリン血症、全身性アミロイドーシス
C.血清あるいは支持組織の脆弱化・・・老人性紫斑、ステロイド紫斑、壊血病
D.原因不明・・・単純性紫斑、慢性色素性紫斑

Ⅱ.閉塞性血管病変
1)血栓・塞栓形成
A.感染・・・電撃性紫斑、敗血症性血管炎、感染性心内膜炎
B.血栓症・・・播種状血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病、本態性血小板血症、リベド血管炎、抗リン脂質抗体症候群、Sneddon症候群、アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、好酸球増多症候群、悪性萎縮性丘疹症
C.塞栓症・・・コレステロール結晶塞栓症、腫瘍塞栓(心房粘液腫など)、細菌・真菌塞栓
D.異常血液蛋白の血管内凝集・・・単クローン性(Ⅰ型)クリオグロブリン血症
2)血管壁の肥厚
A.血管壁の石灰化・・・calciphylaxis
B.血管内膜の細胞線維性増殖・・・Buerger病、閉塞性動脈硬化症、膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、、皮膚筋炎、シェーグレン症候群)
   (皮膚血管炎 川名誠司 陳 科榮 著 医学書院 東京 2013 p.291より)

全てを取り上げるのは大変ですが、時に血管炎の鑑別にあがる網状皮斑、チアノーゼ、壊死、潰瘍、指趾壊疽を主徴とする閉塞性血管病変の2,3について調べて書いてみたいと思います。