銀寿司

葉市医師会だよりに「誰にも教えたくないとっておきの場所 The Secret Place」というコーナーがあり、実は教えたいんだろうと揶揄したくなるような、やや屈折した題名ですが、そこに先日投稿した文があります。店の宣伝をするつもりはありませんが、ぱっとしない外目からは一寸想像できないうまさなので、店の印象記をそのまま転載してみました。
 今、日本は未曽有の災害で、しかも福島原発の放射線漏出はいつ果てるともなく終息が見えない状態です。寿司屋の記事どころではないかも知れませんが、一刻も早く事態が収束するのを祈るばかりです。そして、美味しい魚を心おきなく食べたいものです。
                 
過日そが病院の林院長から、病院の近くに一見ぱっとしないけれどうまい寿司屋があるので行かないかと誘われ食べに行ったところ気に入り、それから時々家族や友人はては従業員まで連れていくようになりました。とはいっても年に1,2回位でそれ程通い詰めているわけではありませんので、レポートを引き受けてはみたものの自分で良かったのかなといまは若干後悔しているところです。というのも自分の味覚には自信がないし、南方地区にはグルメで小生よりもよくお店を知っている先生方も多く、そちらの方々がレポーターとして適当かと思えるからです。それでも自分なりの印象記を書いてみたいと思います。

 まず入っていって安心するのはあまり高級そうではなく、店主(写真1)も九州人らしく(小生も鹿児島出身ですが)おしゃべりではなくうるさく講釈を垂れない、若旦那はさわやかでソムリエの資格もあり、酒のことも料理のことも親切に教えてくれるという点です。小生は下戸なのですが、各地の酒、焼酎を多数取り揃えており、(写真2)その特徴を懇切に教えてくれます。またぐい呑み、カラフルなガラスのグラスが選べて良い雰囲気で飲めます。(写真3)
料理はどれも若旦那が市場で厳選して新鮮なものを仕入れているようです。小生はお任せが多いのですが、お通しの後大皿が出てきます。各種のお刺身が盛られていてネタは季節ごとに変わりますが、取れたての物が並んでいてどれも珍品揃いです。(写真4)
ちなみに取材の日は釧路の秋刀魚、有明のコハダ、能登のするめ烏賊、紀州のまぐろ(いつも大間のまぐろが上がるとは限らないとのこと)、礼文のバフンウニ、香川の間八、厚岸のツブ貝、岩手の地蛸、北海道のいくら、知多半島の赤貝といったところでした。中でも感心するのは阿蘇から直送の馬刺しです。これが桜肉かと思う程臭みがなく甘く柔らかい。それに馬のたてがみという白っぽい肉はこりこりしてコラーゲンが豊富で絶品です。馬タンも美味しい。ニンニク醤油をつけていただきます。
希望があれば北海道から航空便で直送した活きたたらば蟹を茹でてくれます。若旦那(写真5)手ずから熱々の蟹をハサミで切って手渡してくれます。冷凍の蟹に慣れている小生にはこんなにと思う位美味しいです。甲羅に入れて焼いた白子、フンドシも美味でした。
そして海老、白魚の踊り食いも戴けますが、これは新鮮なのは当然ですが一寸気持ち悪い。好き好きかもしれません。
北海道むかわ町の本ししゃもはやはり味が濃い、食感も普段食べているのと一寸違います。ちなみに現在流通しているものの9割以上は樺太ししゃも(カペリン)だそうです。
釧路町厚岸湾の寺澤さん育成の生牡蠣も大きくてぷりぷりして甘くクリーミーでした。牡蠣の養殖は漁師の腕一つで品質が大きく変わるそうです。寺澤氏の育成した牡蠣は仙鳳趾の牡蠣として特別に珍重されているそうです。(写真6)
その後握り寿司が出ますが、寿司ネタも握り具合も程よくおいしく戴けます。当日は銚子の炙り金目鯛、北海道の炙りさんまで脂が乗って美味でした。さんまは釧路の青刀秋刀魚だそうで獲れた中から目利きの漁師が厳選した物だけが認可されるそうです。ちなみに青刀とは手で握ると日本刀のように立って青く光るからつけられた名前だそうです。
以前食べた炙りトロも絶品でした。箸休めとして出るお新香、そして最後に出る青のりの味噌汁これもとても美味しい。締めの料理として最適です。
ある時御主人から新子のことをお聞きしました。コハダの出たてで小さくて旬のものを新子といって初夏の頃年に一度食べられる珍味で、築地でもご祝儀相場でキロ数万円もする、けれど少したつと価格が落ち着いて安く手に入りますよ、とのことでした。新子が入りましたとの電話で早速食べに行きましたが、柔らかく美味でした。味もさる事ながら滅多に食せないものを食べられ幸せな一時を過ごせました。
これだけ充分に食べて飲んでも一人1万円は越えません。いつか高校時代の友人を連れて行った時には、銀座で食べたら2,3倍はするよといっていました。また社用族であちこち食べ歩き、長年ヨーロッパに住んでいた知人もここはかなり上位に入るよと言っていました。

レポートを書きつつ、やはり誰にも教えたくない店だなと感じています。というのも、もしこの記事で医師会の先生方が来店して隣で食べていたら緊張してゆったりとした気分で食べられないかもしれない、またあまり流行りすぎて味が落ちても困る、このままの感じでいぶし銀のような銀寿司であって欲しいと自分勝手な感想になってしまいました。

後記:トイレの横の壁に色紙が貼ってあるのを見つけました。なぜかあの蛭子能収さんのものもあり、聞いてみたら店の主人と同級生、ご近所で遊び仲間だったとのこと。あと福田アリーナが近いせいかJリーグ選手の色紙が多数ありました。一寸興味を持たれた方は小人数で出かけてみて下さい。
 銀寿司地図(写真7)
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