メラノーマの薬物療法(3)免疫療法1.

癌の免疫療法の歴史はかなり古くからあることを前回書きました。(それは当日の講師の宇原先生のブログにも詳しく書いてあることも書きました。)
しかし、動物実験などではキラーT細胞などの獲得免疫は有効でも、実際のヒトに対してはあまり有効ではありませんでした。では癌に対して免疫が無いのかというとそうではなく、癌細胞自身が免疫が働いて攻撃されるのを免れる(抑制する)仕組みを持っていることが分かってきました。
1975年にダカルバジン(Dacarbazine: DTIC)がメラノーマの抗癌剤として使われだしてから、30年以上それを越える薬剤は開発されませんでした。
2011年、免疫チェックポイント阻害薬である抗CTLA-4抗体のイピリムマブ(ipilimumab)が初めてDTICに比べてより効果のある治療として報告され、米国のFDAでメラノーマに対して認可されました。これが新規の癌免疫療法の幕開けとなり、さらに抗PD-1抗体(ニボルマブ)の登場で大きな進展を遂げつつあります。

癌細胞が免疫を回避する仕組みと、それを阻害し、免疫を活性化する免疫チェックポイント阻害薬のメカニズムは複雑で素人には簡単には理解できませんが、教本をたよりに試みてみたいと思います。

CD8陽性の細胞障害性T細胞が癌細胞を攻撃するのに2つの局面が重要だそうです。
1つ目は癌抗原を取り込み、それをT細胞に伝える樹状細胞とT細胞との間の関係、ここに関与するのが抗CTLA-4抗体のイピリムマブです。これをプライミングフェースといいます。
2つ目はT細胞と癌細胞との間の関係、ここに関与するのが抗PD-1抗体のニモルマブ(オプジーボ)です。これをエフェクターフェースといいます。

詳細は次回に。