大人の白斑

小児の白斑は、先天性のものが鑑別診断で重要ですが、大人になってから生じたものはまず後天性のものとなります。
やはり尋常性白斑が最も多くなりますが、鑑別すべき疾患をあげてみました。
◆尋常性白斑・・・すでに書いたので省略。

◆Vogt-Koyanagi-Harada症候群・・・別項で。

◆Sutton母斑、黒色腫関連白斑・・・すでに書いたので省略。

◆化学物質による白斑・・・別項で。ハイドロキノン誘導体、フェノール化合物など職業性に生じるものもあります。美白剤のロドデノールによるものもこの範疇にはいります。

◆感染症による白斑・・・癜風によるものは多くみられますが、その他の感染症はまず一般診療ではおめにかかりません。
梅毒、ハンセン病、ピンタ、リーシュマニア症、オンコセルカ症、HIV感染症などで見られることがあるそうです。

◆加齢変化による白斑・・・高齢者の体幹、四肢に直径数mm大の円形や不整型の境界の明瞭な脱色素斑が散在性にみられます。軽度の皮膚萎縮を伴っています。早い人では20歳代から出始め加齢とともに増加していく傾向があります。一種の加齢変化と考えられています。
白斑部の表皮メラノサイトは機能低下し、数は減少ないし消失しています。
老人性白斑とも特発性滴状色素減少症とも呼ばれています。

◆炎症・物理的原因による白斑・・・アトピー性皮膚炎、乾癬、エリテマトーデスなど種々の疾患の炎症がおさまった後に炎症後色素脱失としての白斑がみられることがあります。逆に炎症後色素沈着もみられることがあります。全身性強皮症ではこの両者がみられます。
熱傷、凍傷、外傷、放射線等の物理的な原因によっても白斑がみられることがあります。外傷後の白斑の場合では時にはケブネル現象による尋常性白斑との区別がつきにくい場合もあります。
薬剤(サイアザイド系などの降圧剤に多い)の長期間内服の後に薬剤性光線過敏症を発症し、最終的に露光部に色素斑と白斑を混在して生じる場合があります。これを白斑黒皮症と呼びます。

◆僞梅毒性白斑・・・20~30歳代の色黒のアジア人男性の腰臀部に好発します。約1~2cm大の境界鮮明な不完全色素斑が多発ししばしば融合して網目状になります。網目状の形状は梅毒性白斑に類似しますが、梅毒では頚部など露出部の皮膚に発生するとされます。もちろん僞梅毒性白斑では梅毒血清反応は陰性です。

参考文献

塚本克彦 34 白斑の鑑別診断 皮膚科臨床アセット 11 シミと白斑 最新診療ガイド 
相編集◎古江増隆 専門編集◎市橋正光 東京:中山書店:2012. pp181-190. 

あたらしい皮膚科学 第2版 清水 宏 著 東京:中山書店:2013