にきびQ&A(2)–治療ガイドライン

「ニキビ」治療ガイドライン

Q: ニキビの治療にはどんなものがあるんですか。
A: 日本のニキビの治療は欧米と比較して残念ながら遅れています。
従って、皮膚科だけではなく、他の診療科や美容医療の業者、エステなどの対象として扱われる傾向があるようです。中には安全性や有効性が確立されていないものも混在しているようです。
それで、2008年に日本皮膚科学会が標準的で安全な効果的な治療法を「尋常性痤瘡治療ガイドライン」としてまとめ発表しました。現時点での臨床的エビデンス(証拠、根拠)に基づいて推奨度を決めています。
    A:行うよう強く推奨する
    B:行うよう推奨する
    C1:良質な根拠は少ないが、選択肢の一つとして推奨する
    C2:十分な根拠がないので推奨できない
    D:行わないよう推奨する
これらに沿って推奨度Aを中心に説明していきたいと思います。

Q: ではどんな治療が推奨度Aなのですか。
A:1、毛穴の角化異常、面ぽうに対するアダパレン(ディフェリン)を外用する。
2、アクネ桿菌 (P. acnes)を抑えることと、それに伴って起こる炎症を抑えるために抗生剤を外用、あるいは内服する。
この両者が治療の根幹になります。
軽症であれば、ディフェリンのみ、中等症ならば更に抗生剤の外用を追加、重症であれば更に抗生剤の内服を追加します。

Q: 推奨度Bの治療は何ですか?
A: ステロイドの局所注射がニキビ瘢痕やのう腫に対して選択肢の一つとして推奨されていますが、効果の高い治療方法はないので、できる限りこのような状態を作らないように早めに治療することが重要です。
なお、ステロイドの外用剤、内服剤はかえってニキビを悪化、誘発しますので、注意が必要です。

Q: 推奨度Cの治療にはどんなものがありますか
A: ケミカルピーリング、漢方薬、硫黄製剤外用剤、非ステロイド系消炎剤外用などが該当します。

Q: 今はやりのレーザーなどは推奨しないのですか。
A: 特殊な光線療法、レーザー治療は国内での検討が十分にされていないこと、また設備が高額で保険適応がないことなどから推奨されていません。ただ、十分に検討がなされ明確なエビデンスが蓄積されていけば、正しく理解した医師が適切な機器を使用する条件でレーザー治療が推奨されていく可能性は高いとされています。

Q: 外国で使われるアゼライン酸、過酸化ベンゾイルなどは推奨されていないのですか。
A: 日本はdrug lagがあり、諸外国で使用されていて日本で使えない薬剤は上記のものの他にもいくつかあります。ただ、徐々にこれらの薬剤も認可されていく方向にあるようです。

これらの推奨度の高いものから順に説明してみようと思います。

参考文献 

皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント
総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011

以下次回へ

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