にきびQ&A(5)漢方薬

Q: にきびに漢方薬は効くのですか。
A: ガイドラインでは、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯、十味敗毒湯が推奨度C1となっています。すなわち、他の治療が無効、または実施出来ない時には選択肢の一つとして推奨しています。
清上防風湯、十味敗毒湯は、化膿性炎症の急性期に効果があるとされます。これらには抗炎症作用と共に、ある程度の抗菌作用もあるそうです。
いずれも胃腸の弱い虚弱体質の人では胃部不快感や下痢などを起こす事があるようです。また甘草を含んでいるために偽アルドステロン症を起こし、低カリウム血症を起こしたり、むくみを生じることもあります。荊芥連翹湯もニキビ菌に対する抗菌作用が認められていますが、やや慢性期の化膿性炎症に対して用いられます。
皮膚が浅黒く色素沈着し易い傾向にある人向きとのことです。特に浅黒い色調の集簇型痤瘡には良い適応だそうです。
ニキビを瘀血、血熱といった血の異常と捉えて駆瘀血剤が使われ有効な場合もあるようです。(桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遥散など)

漢方薬は西洋薬と異なり、成分も薬効も多彩で科学的な証明がなされていないものが多いです。また虚実、陰陽などの概念により使用薬剤、薬効も異なるなど評価も解りにくいのは否めません。しかし、抗菌作用や、抗炎症作用も徐々に明らかにされてきています。長期にわたる抗生剤の使用によって耐性菌が出現してくることを勘案すれば、長期にわたる場合は漢方薬の使用はもっと考慮されてもよいかもしれません。

参考文献 
皮膚科臨床アセット8 変貌する座瘡マネージメント
総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011

寺澤捷年 絵で見る和漢診療学  医学書院  1993

秋葉哲生 洋漢統合処方からみた漢方製剤保険診療マニュアル
ライフサイエンス・メディカ 1997

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)