剱岳

連休を利用して、剱岳に行ってきました。仙人池から下の廊下を目指しました。
いつものように計画性がなく、直前に決めて行ったこともあって、想定外のことだらけの山行となりました。
信濃大町から扇沢までは良かったものの、扇沢で長蛇の列で切符を手に入れるのに1時間も待たされました。ようやく室堂に到着して、さあ今日の泊まりの剱沢小屋まで、と思って歩き始めるとしばらく行って看板があり、剱近辺の山小屋は予約の方のみしか宿泊できません、とありました。いかに最近の山事情に疎いか、露呈した感がありました。がっくりきて引き返し、室堂の山小屋に宿泊を請おうとして財布を捜すと、ない!!呆然としました。運転免許証、カード、現金全てがなくなり、茫然自失です。これでは山どころの騒ぎではない、家に帰ることもできなくなってしまう。一縷の望みをかけて室堂ターミナルに尋ねるとややあって山岳警備隊詰所にそれらしき物が届いている、とのことです。詰所で財布に再会。実に親切な人に拾われたものです。地獄に仏とはこのことです。一時は、カードを悪用されたら、とか運転免許証の再交付とか悪い事ばかり頭をよぎっていました。
返却してもらった上に当日の宿泊のお世話もしてもらいました。
翌日は、室堂から別山乗越、剱沢雪渓を越えて、仙人池ヒュッテまでの長い行程となりました。疲れ果てて到着しましたが、八ッ峰、チンネなどの絶景は目を和ませてくれました。20代の若い頃に登った三ノ窓雪渓からチンネの記憶もかすかに甦ってきました。
翌朝は仙人池に映った裏剱が夜明けとともに、刻々と赤い色に染まっていく様に皆感嘆の声をあげながらシャッターをきっていました。もう紅葉は始まっていましたが、もうしばらくしたらまさに錦秋の裏剱となるのでしょう。この情景に会えただけでもここに来た甲斐がありました。満足して今日はゆっくり阿曽原までとのんびりと降っていくと、なんと仙人温泉小屋から先は通行止めとのことです。ここ数日の晴天でスノーブリッジが極端に薄くなり崩壊の危険があり、架かった梯子もいつ崩れるかもしれないとのことで当日朝8時以降通行止めになったとのことです。つい30分前までの登山者は降りていきました。結局富山県警山岳救助隊からストップがかかり、引き返すことになりました。阿曽原温泉から旧日電歩道を通って欅平までの道は断念せざるを得なくなりました。いつもの年ならばこんなに雪は残っていなくてスノーブリッジの部分に橋がかかるのだそうです。
皆がっくりきて元来た道を引き返していきました。元気な人たちは仙人池を超えて真砂沢方面に下っていきましたが、小生は体力もないし、モチベーションも下がり、仙人池ヒュッテでもう一泊です。昼間からビールをご馳走になりながら山の猛者たちの話に聞き入りました。中には山を続けたくて会社をやめ、自営業を始め、チョ・オユーやマナスル、アマダブラムなどに行きいまだに現役でばりばり登っている還暦のおじさんもいました。剱本峰から北方稜線を辿り、池の平まで軽く来たそうです。コースタイムの7掛けで、休憩なしで10時間以上歩けるそうです。北方稜線はいまやツアーの人気コースで八ッ峰縦走も人がいっぱいいたとのことです。馬場島から早月尾根を剱本峰まで1日で往復するトレランは今や大流行とのことでした。驚くことばかりでした。
翌日は退却行の気分でした。そのまま来た道を戻ろうかとも思いましたが、それも芸がないし、ハシゴ谷乗越を越えて黒部ダムまで引き返しました。若い頃2度ほど通った道でしたが、こんなに疲れて歩きにくい道だったかなーと腰、膝の痛みをかばいながら戻りました。
想定外のことばかりあり、体力の衰えを実感させられた山行でしたが、帰宅してほっとすると剱の素晴らしさがしみじみと湧き上がってきました。

室堂 みくりが池

室堂                     みくりが池

室堂夕焼け 剣本峰

室堂夕焼け                  剱本峰

剣沢雪渓 

剱沢雪渓                   真砂沢テント場

八峰 裏剣

八ッ峰                    仙人池からの裏剱

チンネ

三ノ窓雪渓上部

三の窓雪渓  チンネ登攀2

チンネ登攀 チンネ上部

昔(数十年前)のチンネ登攀