分子標的薬による皮膚障害

爪の疾患について、長いこと書いてきましたが、そろそろ種切になってきました。結構いろいろ調べて書いたつもりですが、東先生の教本やBaran&Dawberの教本を見てみると、ここに取り上げたものは、そのごく一部に過ぎないことに茫然としてしまいます。でもこの年になって初めてこんな爪の体系的な素晴らしい本に巡り会えたのは一寸した感動でした。
単にアンテナが機能していなかっただけかもしれませんが。EADVの学会で何でEuropean Nail Societyなどあるのだろうと思っていましたが、その意義、奥深さ、重要性を一寸だけ垣間見たような気がしました。

先日、といっても昨年になりますが、分子標的薬による皮膚障害の講演がありました。そこで、陥入爪が副作用として問題になっている事を教えて貰いました。最後にこの話題を取り上げて爪の話題から離れるつもりです。次は何になるでしょうか。自分でも風まかせといった感じで分かりません。

当日の講師は以前浦安で皮膚癌の講演をしていただいた静岡県立がんセンター皮膚科部長の清原祥夫先生でした。日本臨床皮膚科医会のブロック集会で今回は千葉県皮膚科の担当によるものでした。委員の先生方が、皮膚腫瘍の話も聞きたいという要望だったのですが、今回は腫瘍そのものではなく、治療薬の皮膚障害というテーマでした。
予想と違ったのですが、聴いてみてこれは全科に亘る、全ての人にいずれは降りかかるであろう(自分または家族に)ガンという厄介な疾患の治療において避けては通れない重要な事柄だと気付かされました。
調べてみても癌の治療薬の基本が解らないと仕方がないのですが、乏しい知識をしぼって書いてみたいと思います。