中原寺メール12/25

【前住職閑話】
この季節、華やかな趣向を凝らしたイルミネーションに人々は誘われて何処も賑やかです。
しかし、冬枯れの自然の光景は何とも言えない深さがあります。
すっかり枯れ葉を落とした丸裸の幹や枝ぶりのたくましさ、寒風に見上げる遠い青空の美しさ、夜空に輝く大三角をはじめとする星座群は、人間の作り出すどんなイルミネーションでも比較になりません。
 久しぶりに混雑を避けて3,5キロほどの駅からの家路を歩いて帰りました。
ところが今の道路は人の歩く道ではなく、車道であることに気づき腹立たしくなりました。人が通らなければならない端っこの狭い道はガタガタ、障害だらけのでこぼこで細心の注意を払わなければなりません。
 車いすや杖や目の不自由な方たちはとてもとても通れるような道ではありません。何がアベノミクスだ、何が経済効果だ、政治家の視線は結局人間疎外の社会を作り出しているのが現状ではないかと苦々しい思いになりました。
 モノのない貧しさは困るけれど、弱者を中心としない心の貧困の広がる社会は最も恐ろしいことです。
 やさしさのない人間社会は、また私たち一人ひとりの問題であります。
みんなが安心して自然を眺め、心の育みと豊かさを感じられる時代になってもらいたいものです。