中央アルプス

今年最後の連休です。土曜日は代診の先生にお願いしているので、うれしい3連休となりました。これで山に行かない手はない、とだいぶ前から目論んでいました。でも、腰は痛いし、体力は低下しているし、とぐずぐず考えあぐねていました。間際になって、久しぶりの中央アルプス行きと決めました。高い山には登りたい、でも楽をしていきたい、という条件だと、どうしてもリフトかロープウェイの架かっているところに限定されてきます。千畳敷カールのロープウェイは日本で一番高いところまで運んでくれるのだそうです。
バスは駒ヶ根の里から、九十九折の坂道をどんどん登っていきます。唐松林をぬっていつのまにか急峻な伊那谷を眼下にみるようになると「しらび平」に到着です。
ロープウェイは「しらび平」というところから、あっというまに、千畳敷カールまで運んでくれました。季節は秋から一気に冬模様です。
お天気も上々とあって、山は多くの登山者を迎えていました。山はもう雪化粧をしていて、登山道にも雪が積もっていましたが、それほど深くはなく、また心配していたアイスバーンにもなっていませんでした。風もあまり吹かず厚着をしているとむしろ汗ばむ程でした。稜線に出るとさすがに風がありましたが、日差しは暖かく稜線漫歩の気分を味わえました。宝剣岳を左に見ながら駒ヶ岳に向かいました。
もうしばらくすると、本格的な冬山となり、全山が深い雪に閉ざされるのでしょう。
歩きながら、遠い昔のことを思い起こしていました。
まだ20代の頃、クラブの合宿が暮れから正月の宝剣岳でありました。テントで休んでいると、山小屋から急病人が出たので医者はいませんか、との切迫した呼びかけがあり、友人のYと二人で駆けつけてみると、中高年の男性がもう虫の息でした。二人して必死に人工呼吸などの蘇生を続けましたが、息を吹き返すことはありませんでした。宝剣岳での岩登り、木曽駒ケ岳への登山などの合宿でしたが、この遭難の一件が心に重く圧し掛かった冬山でした。
あれからもう何十年もたってしまいましたが、ついこの間のような気もします。山は変わらないけれど人の世の移ろいの速さに驚かされます。
妻は年を考えていい加減にしたらといいますが、確かに人に言われなくても歩いていて、自ら老いと衰えを感じています。歩きは遅く、時には岩につまずき身のこなしは硬くなってしまいました。

山から下りてきて疲れたので前日泊まった温泉宿にまた連泊しました。ゆっくりお湯に浸かって紅葉など見ている方と、これが日本の山の醍醐味だなーと感じます。

山も人生も登るだけではなく、下ってくることの方が難しく、大切だといいます。確かにそうだけど、しばらくは山も仕事も現役でもうひと頑張りしようかなと思っています千畳敷カールロープウェイ

ルンゼ宝剣岳

頂上頂上神社

富士山山里