にきびQ&A(I)

ニキビについて先のブログにいろいろ書きましたが、実際の治療にはあまり役に立つ内容ではなかったと思います。
そこで、実地医療の現場で患者さんが知りたいであろう疑問点をQ&A方式でできるだけ判り易い言葉で答えてみました。

Q:ニキビはほとんどの人が経験する「青春のシンボル」みたいなものなのに、わざわざ皮膚科に罹る必要があるんですか?
A:勿論軽症であれば、洗顔などのスキンケアで様子をみても良いのですが、悪化し、放置したり、不適切な処置をするとニキビ痕を残すなどやっかいなこともあります。それに皮膚科専門医はニキビに関する知識をもっていますし、最近はニキビ治療も急速に進んできました。ニキビは皮膚科で治療しましょう、という機運も高まっています。まずは近くの皮膚科の専門医に相談するのをお勧めします。

Q:ニキビとはどんなものなのですか。
A:思春期になると、皮脂腺の増加、毛孔が角化して目詰まりを起こし、粟粒状のぶつぶつができてきます。これを面皰(めんぽう、コメド)といいます。黄白色に見えるものが、初期のニキビで毛包が閉ざされたもので閉鎖面皰(白色面皰)と呼びます。
毛包が開いていて先端からメラニン、皮脂などにより角栓が黒くみえるものを開放面皰(黒色面皰)と呼びます。これらは非炎症性痤瘡です。
これにニキビ菌などによって炎症が起こってくると紅色皮疹となり炎症性痤瘡となります。紅色丘疹となり、さらに進むと黄色の膿がたまったような膿疱となります。
重症になると毛包が拡大して嚢腫を作ったり、毛包壁を破壊して結節、硬結を作ったりします。こうなると炎症が収まった後も、瘢痕といってでこぼこのニキビ痕を残したりします。

Q:なぜニキビができるのですか。原因は何ですか。
A:思春期になると、性ホルモンの活動が活発になります。アンドロゲンという男性ホルモンの作用によって皮脂分泌が増加してニキビができるとされます。男性は精巣で、女性は副腎と卵巣で産生されますが、その他の性ホルモンも関与していて、単に血中のアンドロゲン量を測っても変動の幅は大きくその評価は難しいそうです。
また毛包漏斗部(じょうごのような部分)の角化も目詰まりを起こしニキビを生じますが、その原因の一つはニキビ菌(P.acnes)の増殖によるとされます。ニキビ菌は細菌性のリパーゼを産生しますが、これは皮脂を分解して遊離脂肪酸(free fatty acid:FFA)を作ります。このFFAが面皰形成を促進し、毛包壁を刺激し破壊し炎症を起こし、活性酸素が増加し更に悪化するといわれています。この過程で様々な炎症性サイトカインが活性化して悪さをするようです。しかし病因の全貌はまだ解明されていません。

Q:ニキビは治るのですか。
A:実は日本のニキビ治療は諸外国に後れをとっていたのですが、最近遅れを取り戻しつつあります。皮膚科医にかかり、正しいスキンケアを行えばほとんどの場合治っていきます。ただ、放置したり、体質や重症の場合で「ニキビ痕」と呼ばれる痤瘡瘢痕を生じるとずっと残ってしまいます。陥凹したり、隆起したりします。近年はレーザー治療なども取り入れられていますが、基本的には残念ながら残ります。それで、ニキビ治療においてはいかに瘢痕を生じる前に早期に治療するかということが重要になってきます。
いわゆる「しみ」としてのニキビ痕は炎症後の色素沈着ですから瘢痕を伴っていなければ早晩治ります。ただ、結構長い時間がかかるのは水着の跡が長く残るのと一緒です。

Q:生理の前にニキビがひどくなるのはなぜですか。
A:脂腺の増殖、皮脂分泌の増加、また毛包の角化は性ホルモン(主にアンドロゲンという男性ホルモン)の影響を受けています。この時期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)も増加しますが、これとニキビの関係は今の所不明です。血中のアンドロゲン、テストステロンを調べてもほぼ正常で変化はないものの受容体の反応性、感受性が高まるとの説もあります。また月経前症候群といって、多くの女性は心身の不調を感じることがあり、ストレスがニキビの悪化に関与するという考えもあります。ストレスによって視床下部から内因性のステロイドホルモンが分泌されます。これもニキビを悪化させている可能性があります。イライラなどで皮膚を引っ掻いたりすると、さらに悪化させることにもなります。

Q:ニキビに良くない食べ物はありますか。
医学的、統計的に証明されたものはありませんが、食文化が西洋化、動物性食品の摂取が多くなると、同じ民族でもニキビが増える傾向にあるそうです。
油製品や牛乳の摂りすぎは良くないとされますが、医学的に証明されたわけではありません。バランスの良い低GI(glycemic index)食品・・・血糖値の上がりにくい食品をとるようにし暴飲暴食を避けて規則的な食生活を心掛けるのが良いでしょう。

Q:ニキビのスキンケアの注意点は何ですか。
A:化粧品は低刺激でノンコメドジェニックな製品を選ぶことです。また洗浄料で簡単に洗い流して落とせるものが望ましいです。メイクをしている時にはクレンジング料と洗顔料のダブル洗顔を行いましょう。
アイメイクと口紅はポイントメイクアップリムーバーをたっぷり目につけ、なじむまで待つ、擦らないこと(アイメイクをしている時)。クレンジングは別に十分量を使いメイクとなじませクレンジング料が肌色になり質感が変化した時が洗浄のタイミングです。おおよそ1分間が目安です。(少ないクレンジングで長時間ごしごし擦り落とすのは間違い)。その後の洗顔料は肌に残ったクレンジング剤や汗、皮脂、角質を取り除きます。泡立てネットなどで手のひらにこんもりと盛り上がる程に泡立てます。髪の生え際や顎の部分は洗顔料が残り易い部位なので丁寧に洗います。顔を左右に傾けて洗うのがコツだそうです。熱いお湯では皮膚が乾燥しますので32~33度位が適当です。洗顔の回数は1日2回が適当です。
拭く時もごしごし擦らないでタオルをのせて軽く押さえるように拭くようにします。
洗顔後は皮膚が乾燥しますので早めに保湿することが必要です。アダパレンやケミカルピーリングなどの治療で乾燥肌になる傾向もあり、治療を継続するためにも保湿は重要となります。
日常では痤瘡用のサンスクリーンを使い、紫外線から肌を守ることも重要です。ウォータープルーフタイプはニキビを悪化させるので不適当です。

Q:ニキビにはお化粧はできないのですか。
A:男性の皮膚科医師特に年配の先生は大抵「化粧はするな」というケースが多いようですが、自分も含めて本当のところどういった

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)