爪下外骨腫、グロムス腫瘍

10~20歳代に多く、特に女性に好発します。
第1足趾にできることが最も多く、ついで第3足趾に多いそうです。
原因は明確ではありませんが、機械的な刺激によると考えられています。また体質的な要因も特に若年発症例では考えられています。
爪甲下に生じた腫瘍によって爪が押し上げられて変形します。腫瘍は硬く、大きくなると疼痛があります。
この腫瘍はX線像で末節骨から突出した骨が写るので、臨床像と共に、X線撮影が必須かつ、診断の確定診断につながります。
病理組織では、硝子軟骨組織や線維性軟骨組織から骨組織に移行するタイプがあります。加齢や外的な刺激によって、軟骨が繊維化して次第に骨腫型に変化していくと考えられています。
レントゲン撮影でほぼ確定診断ができますが、爪甲下に生じた場合は、粘膜のう腫、グロムス腫瘍、場合によっては血管拡張性肉芽腫や無色素性悪性黒色腫との鑑別が必要になってきます。
治療は手術によって外骨腫を完全に取り除くことになります。

【グロムス腫瘍】
爪甲下に生じる腫瘍で、圧痛、自発痛のあるのが特徴です。寒冷で痛みは増強し、時に肩口までも放散します。(それで、氷を爪の上に乗せて痛みの増強をみるテストもあります。また、血圧計を巻いて手の血行を止めると痛みが軽減または消失するのも特徴です。)爪甲下に赤、紫色をした腫瘍を透見できます(blue spot)。爪は押し上げられて、縦溝を形成することもあります。グロムス体は平滑筋を有する一種の動静脈吻合器官で掌や爪床に存在しますが、爪床が最も密度が高いそうです。それでこの部位の発症が多いそうです。
X線で骨の吸収像や嚢腫を認めることもあります。
グロムス腫瘍は、他の痛みを伴う腫瘍との鑑別を要しますが、一方爪囲炎や血管炎、ヘルペス、疣などの炎症性の疾患との鑑別も必要になってきます。治療は腫瘍の切除ですが、取り残しや再発なども見られるようです。

文献

東 禹彦:13 爪および爪周囲組織の腫瘍. 爪 基礎から臨床まで 金原出版 第7刷 p176-193, 2013

Luc Thomas, et al. Tumors of the Nail Apparatus and adjacent Tissues. Baran & Dawber’s Diseases of the Nails and their Management, 4th ed. Edited by Robert Baran, David A.R. de Berker, Mark Holzberg and Luc Thomas. John Wiley & Sons, Ltd. p 637-743, 2012

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爪下外骨腫(腫瘍の上の爪を切り取ったもの、 守田英治先生 提供)

 

グロムス腫瘍グロムス腫瘍 アイスキューブで冷却すると痛みが増強しました.紅斑も増強しました.