スポロトリコーシス

スポロトリコーシスについてまとめてみました。いままで述べてきた水虫、たむし、カンジダ症、癜風などは主に皮膚の表面の角層で増殖するもので、浅在性真菌症といわれるものですが、スポロトリコーシスは皮膚の中、皮下組織まで菌が入り込むので深在性真菌症と呼ばれます。浅在性真菌症と比べると数は非常に少ないですが、重要な疾患で中でもスポロトリコーシスは最も多く見られます。この菌は土壌や植物の中に見られます。そして温暖な環境で生育するので、関東以西に多くみられます。中でも利根川水系は大きな平野で農業も盛んなため多くの報告があります。全国的にみても千葉大学の報告例数は突出して多いです。(Itoh M et al. Survey of 200 cases of sporotrichosis. Dermatologica 1986)
 以前、大学にいた時、時々経験しましたが、報告例数が多いのはあながち地理上の問題だけではなく専門家がいたこと、真菌医学研究センターの存在なども関係あるかと思います。
 近年は都市化の影響で減少傾向にあるとのことですが、一方で家庭菜園や園芸などで土壌や植物などとの接触の機会が増えると感染の機会が増えますので注意が必要です。

 写真及び、データはその当時大学にいて真菌症をリードされていた岩津先生から提供を受けました。お礼を申し上げます。

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