毛染めによるかぶれ

染毛剤によるかぶれ(接触皮膚炎)は近年増加傾向にあります。これの重要なことは、使用者が多いこと、一旦感作されてアレルギーになりそれを知らずに使用し続けると次第に激しい皮膚炎を起こしたり、最悪の場合アナフィラキシーショックを起こしたり、接触皮膚炎症候群という全身性のアレルギー症状を起こしうるという点にあります。 また職業性接触皮膚炎の原因としても重要でその10%以上を美容師・理容師の手湿疹が占めるという報告もあります。また美容師の手荒れのうち、7割以上が染毛剤でパッチテスト陽性というデータもあります。 ジャパニーズ・スタンダードアレルゲンの陽性率は、2005年では1位がニッケル、2位がウルシオールで3位がパラフェニレンジアミン(PPD)となっていますが、このPPDが染毛剤のかぶれの原因の主原因です。 しかも1,2位が年々低下傾向にあるのに対してPPDの陽性率は増加傾向にあります。 欧米でのPPDの陽性率は2000年頃には4%台だったものが、近年の陽性率は7~8%台に増加しているそうです。日本での陽性率はこれよりももっと高いというデータもあります。それは、日本人の髪が黒色であり、白髪を黒く染めるためにはPPDが最も有効・必須であるために、PPDを含む染毛剤が多く使用されていることによると思われます。女性の8割以上が染毛をしているというデータもありますし、高齢化社会においては男女を問わず毛染めをする人が増加傾向にあります。  更に、注意を要する点は、PPDそのものの毒性の強さ、アレルギー性感作性の強さもさることながら、その交叉過敏性の多さです。 香粧品に多く含まれるパラベン、日焼け止めに使われるPABA、ハイドロキノン、歯科麻酔で使われるベンゾカイン、プロカインとの交叉過敏性が指摘されています。 すなわち毛染めかぶれで一旦PPDに感作されると上記のものでもアレルギー反応を起こす恐れが大ということです。 また洋服や、皮製品、靴などの染料とも交叉することもあるようです。 こういったことを考えると単なる「毛染めかぶれ」、かぶれの中の一つと簡単に放置すべきではないと思います。 一寸分かりにくい、硬い文章になってしまいましたが、ホームページの皮膚疾患解説に加えてみました。

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