皮膚の日講演会

皮膚の日講演会
今日、京葉銀行文化プラザで千葉県皮膚科医会主催の皮膚の日講演会がありました。
第1部は順天堂大学浦安病院皮膚科教授の須賀康先生の「皮膚科医が教える美肌スキンケア;ニキビからシミ、シワまで」という演題での講演でした。自然老化は止められないものの、腹7分目の食事、バランスがよく、鮭などのアスタキサンチンを含んだ和食などでも抑止効果はあるとの話からはじまりました。紫外線による光老化の話、それがシミ、シワ、タルミひいては皮膚癌をも引き起こすことも注意を喚起されました。
美肌ケアには細菌、ウイルス、化学物質などを洗い落とす洗浄も必要ですが、清潔ケアと乾燥ケアの両立は大変でお肌に合った保湿、十分な睡眠も必要なことも言及されました。美容皮膚科の治療では、シミの治療はその病態にあった治療を選択する事が必要であると述べられました。美白剤、ケミカルピーリング、レチノイン酸、レーザー、フォトフェイシャルなどの選択は日光黒子、雀卵斑、後天性真皮メラノーシス(ADM)、肝斑などの見極めが重要とのことです。シワの治療についても最近は目を見張るものがあります。抗シワ物質(レイチノイン酸、ビタミンA,C,Eなど)手術(フェイスリフト、スレッドリフト)注入物(コラーゲン、ヒアルロン酸、ボトックス)真皮コラーゲンの再生促進(レーザー、RF療法、近赤外線など)いろいろな選択肢が出てきました。ヒラリー・クリントンさんのボトックス効果などの写真は説得力がありました。ただ、何でもお薦めという訳ではなく、例えば充填剤(filler)によって皮膚潰瘍、内出血、塞栓などの重い副作用もあるとのことでした。
最後にニキビに対する、病態、レチノイドの作用、スキンケアなどの生活指導がありました。1時間ではもったいない程の盛りだくさんな内容でした。
第2部は常盤薬品、NOV事業部によるスキンケアの実演でした。モデルさんを使った実演は普段のスキンケアに慣れている女性の方々にも参考になったかと推察します。
洗浄、保湿、遮光の順に実演、解説がありました。
クレンジング料の正しい使い方では、クレンジング料がメイクとなじんで肌色になってから(これを転相ーーエンドポイントーーといい、クリーム、ジェルが肌を滑らせるときにフッと軽くなったと感じる点)洗い流す事が重要とのことでした。
またたっぷり目の量を使い指先ではなく、手のひら全体を使って体温で温めながらなじませるのが良いそうです。
洗顔料の泡立ては手でも、泡立てネットを使っても、手のひらからこんもり盛りあがる程度に大きく泡立てる事が重要です。これは泡がクッションの役目をするのと、少ない量で洗浄できるので余分な洗浄成分がすすぎ後に残るのを防ぐ効果があります。
またすすぎの温度も重要で、シャワーと同じ42度と35度のぬるま湯とを比較すると、熱い温度では本来の肌の保湿成分もすすがれて乾燥が進んでしまうという実験結果も示されました。
また、洗顔はTゾーンを意識的に行い、顔の周辺は洗い残しが多いので顔の向きを上下、左右に動かしながら洗顔する方法を実演されました。
保湿は洗顔後すぐに行う事が重要で化粧水のみと+乳液、クリームを比較すると化粧水のみでは5分後に乾燥が進んでいることが示されました。また保湿はコットンよりも手のひらで温めながら肌の調子を感じながら優しく行う方が良いとのことでした。
最後に日焼け止めのチェックポイントがありました。特にスポーツなど屋外の運動では知らず知らずのうちに汗を拭ったりしてサンスクリーン剤が取れてしまっている事が多いとのことでした。またSPF(sun protection factor)は皆さん良くご存じですが、測定値は実際の使用量の約2倍、真っ白くなる程度の測定値であるとのことであまり過信しない方が良いようです。
スポンジ・パフなどは1週間に1度程度はお手入れすることも大切です。台所用中性洗剤と化粧用スポンジ専用クリーナーを使って洗浄すると良いとのことでした。

今回の講演、デモは我々皮膚科医にとっても非常に参考になりました。
これ程内容が充実していて、講演のカラー要旨がついていて、スキンケア用のサンプルがいただけて、しかも無料というのはかなりな事ではないかと、終わってみて主催者側の一人として思いました。
一寸満席には欠けましたが、盛況でした。今後とも千葉県皮膚科医会として市民への情報提供ができればと皆で話し合いながら散会となりました。

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