中原寺メール5/28

【前住職閑話】~三国ってどこの国~
 歴史上の人物で、名前ぐらいは聞いたことはあってもよくは知らないという人は意外に多いですね。
 「三浦按針」(みうらあんじん)のことはご存知ですか?
先日の中原寺門徒旅行では、三浦按針ゆかりの寺、横須賀の浄土寺を参拝しました。
 三浦按針つまりイギリス人ウィリアム・アダムスはオランダの東洋遠征探検艦隊の航海士で1600年に大分県臼杵に漂着し、9日目大坂城で徳川家康に謁見、その後、天下人となった家康の外交顧問として徴用されるようになりました。その功績により、現在の横須賀市逸見に二百五十石の知行を授けられ領主となった日本で唯一の外国人サムライです。
 当時まだ世界の全容を知らなかった日本において、彼が家康に、持っていた世界の海図や辿った航路を示したことは、初めて世界というものを知った端緒になったようです。
 因みに「三国一の花嫁」という言葉がありますが、「この花嫁は世界一だ!」とのほめ言葉です。三国とは仏教が伝来した天竺(インド)、唐土(中国)、日本ですから、世界はこの三国しかないと思われていた時代だということです。
 三浦按針によって、やがて日本は広い世界を知り大きく羽ばたくことになっていったわけです。
 人間の精神界も「我」という小さな殻に捉われず、人間を超えた大きな広い世界に導き出されてこそ真に自由な生き方が生れてくるのです。
 「仏法は無我にて候ふ」。ここがほんとうのいのちが活動する世界です。