血管腫(赤アザ)

先日、日本臨床皮膚科医会総会が横浜で開催されました。そのなかで、今回は「子どもの皮膚の形成異常・腫瘍」という演題を取り上げてみたいと思います。
神奈川県立こども医療センター皮膚科の馬場直子先生の講演です。
赴任して、最も一般の皮膚科と異なり、戸惑ったのは先天性の皮膚疾患である母斑・血管腫・形成異常が多いということでした、と述べられていました。
確かに我々一般の開業医にはそのような患者さんは、滅多に相談にはみえません。こども医療センターのセンターたる所以でしょう。
それに馬場先生が苦労しながら手術、レーザー治療などを重ねることによって紹介患者さんも増えていったのでしょう。
短い時間で多くの重要な疾患を供覧、解説していただきました。この分野の疾患はごく稀ながら重要なものが多く、親御さんにしてみれば期待に胸を弾ませて待ちに待った我が子に降りかかった疾患が生涯にわたって続くことの苦悩や不安は想像を絶することと推察します。患児も成長とともに、精神的な葛藤に悩み苦しむことになります。
皮膚科医はそれらの疾患をみたら、まず皮膚だけのものか、皮膚以外の合併症を伴う可能性はないのか(母斑症)を見極めることが大切だと述べられました。
そして、今あるものが自然消退するものか、生涯に亘って残るものか、あるいは増大したり、腫瘍化しないものかを判断し、患者家族に説明することが大切といいます。
さらに治療を要するものであれば、その時期、治療方法などを的確に判断し見極め、家族に説明できることが重要とのことです。
当日は数多くの疾患を解説していただきました。
名称だけを羅列してもあまり意味はないかもしれませんが、ことほど左様に多くの赤ちゃんの皮膚疾患があることは伝わると思いますのであげてみます。
サモンパッチ、苺状血管腫、血管芽細胞腫、異所性蒙古斑、色素失調症、ポートワイン母斑、太田母斑、若年性黒色腫、色素性母斑、脂腺母斑、肛門垂、小児指線維腫症、肥満細胞腫、若年性黄色肉芽酒、石灰化上皮腫、皮様のう腫、脂肪腫、乳児線維性過誤腫、ランゲルハンス細胞組織球腫、リンパ腫(良性、悪性)などなど。
これらの中で、最もよく見られ、治療にも注意を要する血管腫について当日の講演を基に調べてみました。