プラハにて(4)

酒さに続いたセッションは性感染症でした。昼時でしたし、他にもSTI(sexually transmitted infection) はあったので、よく解りませんが、その時は聴衆は少なかったです。別の時間の時もどちらかというとロシア、東欧のしかも女性の皮膚科医の講演が多かったようです。ロシアは確か西欧よりも10倍位梅毒が多いといっていたと思います。(勘違いかもしれませんが、多いのは事実のようです。)近年次第に患者数は少なくなっているものの、なぜか18-19歳の女性の罹患率は突出しているとのことでした。 そして、問題なのは妊婦の梅毒と、それに伴う先天性梅毒とのことでした。全世界では200万人の患者があり、そのうち毎年50万人が先天梅毒で亡くなるとのことです。 そして、ヨーロッパで問題なのはエイズに伴う梅毒の増加とのことでした。エイズは治療薬の進歩に伴って今やすべてが死にいたる病ではなくなったかもしれませんが、MSM(最近はホモセクシュアルとはいわずにmen who have sex with men というようです)の患者でエイズと梅毒に両方罹患する患者が増えていて治療に難渋するようです。 梅毒に罹患すれば、痛んだ粘膜からHIVに罹りやすくなり、HIVに罹れば免疫力の低下によって梅毒にも罹り易くなります。そして一旦罹ると治りにくく、神経梅毒などの重篤な症状を呈しやすくなるとのことでした。 日本でのHIV患者数は確か1000人程度と思いますが、実数はその数倍あるようです。他国と比べると非常に少ないですが、先進国で唯一増加しているのが日本だということは忘れてはなりません。(2012年6月25日のブログを参照して下さい) 東欧の女性の皮膚科医がSTIはnever ending story だといっていましたが、人類が生存している限り必然の疾患です。 故岡本教授のように梅毒、性病を専門とする日本の皮膚科の教授は少なくなったように感じますが重要な皮膚科の部門ですのでこの先若手の先生方に期待したいと思いました。  旅の最後にプラハ城とチェスキー・クロムロフを見て回りました。プラハ城の聖ヴィート大聖堂は立派なものでしたし、城下の古い街はまさに中世のような感を抱かせました。チェスキー・クロムロフのまるで中世の御伽噺の絵本を開けたような美しい町並みやお城は素晴らしいものでした。ただあえて奇を衒うわけではありませんが、心に残ったのはプラハ城の奥まったところに密かに建っていた聖イジー教会でした。これは十世紀前半に建てられたプラハ城最古の建物だといいます。ロマネスク様式の、要するにまだ石組みの技術が未熟だった頃の、周りを石壁を積み上げただけの何もない簡素な教会です。天井は石を支えるだけの強度が保てないのでしょう。木の天井です。祭壇のところだけ石のアーチの天井でした。しかし、人気の少ない聖堂の木製の硬い長椅子に座ってむき出しの石を見ているとなぜか心が落ち着きました。側面のアーチ型の窓から入ってくる光だけです。華美さの全くない空間はむしろキリストの教えに似つかわしいようにも思えました。しばし瞑想ともつかず、静謐なひと時をすごせました。 最後の夜は、ライトアップされたプラハ城とカレル橋を見ながらホテルに帰りました。 明日は帰国の途に着きます。 旅の途中のいろいろな写真は妻が旅行記のブログを作っているので、そのうちアップすると思います。興味のある方はそちらをご覧下さい。 mistral さんの旅行ブログ http://4travel.jp/traveler/mistral/
聖ヴィート大聖堂.JPG大聖堂内部.JPGチェスキー・クロムロフ(1).JPGチェスキー・クロムロフ(2).JPGカレル橋とプラハ城.JPG

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